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小説

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<終わり>の始まり

「えっ…マジ?」

いつもの喫茶店で、香奈恵は英治に全てを話した。


夫はやはり子供らのために離婚はしないということ、香奈恵の存在は子供を見るためのものということ…

年老いた両親のためにも衝撃は与えたくないから仲の良い夫婦のフリをしろということ…


「…そっか…」
英治はつぶやいた。

香奈恵は、待っていた…
「なら俺と一緒に暮らそうよ」という言葉を。


「この人しか あたしにはいない。子供を捨てたっていい……」
そのつもりで話したのだ。


英治は、いつもの微笑みを香奈恵に向けた。

香奈恵も同じく微笑む…

「…でも、良かったじゃない」

「え?」

「離婚しないで済んだし、良かったよ」


また夢を見ているような気分になった、周りの景色もかすみ英治の微笑みと言葉だけが香奈恵を包んだ……


「本気って嘘だったの? いつか一緒になろうってことじゃなかったの?」


結局、その言葉は口に出せずに喫茶店を出た。

更新日:2010-03-04 00:52:36