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第2話 任務開始

翌朝。
いつも寝坊してばかりいるレオンを起こし、ユウヘイは出発する準備をしていた。
青のズボンを履き、黒のTシャツに着替え、髪を整える。
それが終わると、着替えや食料、そして推理小説などの必要なものをリュックに詰め込んでいく。
それが全て終わると、レオンと朝食をとった。
「よし、ユウヘイ! 今日は気合入れて行くぞ!!」
「はりきりすぎだ。暑苦しい……。それにユキナとの合流の時間に間に合わないぞ、急げ」
ユウヘイの言葉を無視して、レオンは朝食を済ませると、勢いよく部屋の外へ飛び出した。
「行くぞぉぉぉぉぉ!」
「まったく……」
ユウヘイは呆れるようにため息をつくと彼のあとを追った。
二人がビルの出入り口に向かうと、既にユキナが待っていた。
「遅いよ、2人とも!!」
「悪い、悪い!」
レオンは慌てて、頭を下げた。
しかし、ユウヘイは何もせずに突っ立っている。
それが妙に癪にさわってレオンが注意した。
「おい、ユウヘイ。お前も謝れ」
「遅れたのはお前のせいだろ? いい加減に寝坊する癖をなおしておけ」
「うう、たしかにそうだけどよ……」
「結局、ユウヘイが遅れたのはレオンのせいなのね?」
「すいません……」
ユキナに責められ、レオンはついに降参した。
すると、ユウヘイはユキナの前に歩み寄った。
「すまなかった、ユキナ。こいつを早く起こさなかった俺にも責任はある。これ以上こいつを追い詰めないでくれ」
「えっ!? あ、うん……いいよ、別に。そんなに怒ってないから、気にしないで、ユウヘイ」
「ん?どうした、ユキナ。顔が赤いぞ」
レオンにそう言われたユキナはさらに顔を赤くした。
「そ、それより、早く行こうよ! ストナルさんたちが待っているはずよ」
「ああ、そういえばそうだな」。
「確か、集合場所は城下町の南門だったな」
「ようし、さっさと行こうぜ!」
レオンは先に城下町を走り出してしまった。
「まったく、せっかちな人ね……」
「このままだと置いていかれるな。俺達も行こう、ユキナ」
そういってまっすぐ自分を見つめてくる彼の視線にユキナは思わず顔を逸らしてしまった。
「う、うん……そうだね」
こうして、二人は急いでレオンのあとをついていった。

三人は城下町の市場を歩いた。
市場はいつも活気に満ちたところだった。
各国から集まった大勢の人々が買い物や旅行でこの市場を訪れ、商人たちは次々と数えきれない程の種類の品物を売りさばいている。
港には多数の貿易船が行き来し、商品の輸出入がさかんに行われている。
ユウヘイ達の初めての任務であるこの日は快晴で眩しい太陽が照っていた。
「それにしてもすごい所だよな、ここ」
レオンが言った。
「にぎやかでみんな楽しそうね」
「そうだな。だけど、こんなに栄えている国はもう僅かだ」
ユウヘイの脳裏に過去の映像がよぎった。
彼の故郷であるガリバトロス国もかつては栄華を極めた国だった。
しかし、十年前の戦争によって国は見捨てられ、国家は崩壊。
その戦争でユウヘイが見たのは何の罪もない人々の亡きがらだった。
無差別に行われた殺戮。
それを“K”が今も行っている。
なぜそのような事をするのか、ユウヘイには全く理解できなかった。
父が母と妹なぜ見捨てたのか、その答えがわからないのと同じように。
「そうかもしれないけどよ、ユウヘイ」
前を歩いていたレオンが後ろに振り向いた。
「この国は今でも栄えているんだぜ。そんな国がこの世界にあるだけでもいいじゃねぇか。だから、この国が破壊されないように頑張ろうぜ」
「レオンの言う通りよ。ユウヘイ、まだ世界が滅んだわけじゃないわ」
「そうだな……その通りだ」
二人に励まされてユウヘイはわずかに口元を上にあげた。
「急ごう、集合まで時間があまりない」
「いけね! そうだったぜ!!」
「そうね。早く行きましょう!」
三人は急いで南門に向かった。

更新日:2011-08-28 17:50:58

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