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小説

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 “ドロップ”という名前に、彼の記憶は走馬灯のように駆け巡りました。
ラビフィーが『オトナへの扉』を探す旅に出てまもなく、知恵の樹ドドから
教えられた通りに自分の出来ることは何かを考えながら旅を楽しみ過ごして
いた頃です。まだ幼かった彼は、ひとりになった寂しさを隠しながら毎日を
送っていました。
 天気の良い日が何日か続き、風をまといながらぴょんぴょんと跳ね歩いて
いるといくつかの水溜りができていました。大きな水溜りや小さな水溜りを
上手に飛び越えて最後の水溜りを勢いよく飛び越えようとした瞬間
「助けて!」
という声が聞こえたのです。
こうさぎはジャンプする体勢のまま立ち止まり、声の主を探しました。しかし
周りには誰もいません。
(気のせいか・・・)と思い、もう一度ジャンプしようとわずかにカラダを
かがんだその時です。
「助けて!」
悲鳴にも似た声がはっきり耳を捉えました。足元の水溜まりをよく見ると、
葉っぱが水に浮いていると思ったその若草色はおたまじゃくしでした。
そして必死にカラダを動かし助けを求めていたのです。
彼が『ドロップ』という名前だったことを思い出すのに時間は掛かりません
でしたが、オトナになったおたまじゃくしに会うのは初めてだったラビフィーは
その姿を納得するのに一瞬戸惑いました。



更新日:2010-10-26 21:27:47