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小説

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ヒーローの誕生

 イオはその後も懲りることなく、トラブルを多発していた。
パナエアバスとのニアミス、国会議事堂への墜落事故
(これで、彼はテロと間違えられ、いっきに、有名になっ
てしまった。)など、数え上げればきりが無い。

  しかし、そこがタイムトラベラーとして彼は適している
点だと、笹部は考えた。だが、問題だらけの彼を公に推
薦することは難しい。
   
  笹部は秘書に命じて密かに行動をおこした。原野イオ
の行動パターンを徹底的に調べ上げ、ある事件を仕掛けたのだ。

      ヒーローの誕生
  笹部はある朝、いつもの様に公用パラ・スライダーに乗り込んだ。
操縦席の秘書に合図を送ると秘書はフライトを始めた。しかし、その
航路はいつもと違う。しばらく、飛行を続けると案の定、原野の操る
イオ・ボードを見つけた。笹部は秘書の肩を叩くと原野の姿を指差した。

  程なく、秘書は原野の方へまっしぐらに急降下を始め、原野のすぐ
脇をかすめ、そのまま降下を続けた。原野の脇をかすめたのには理由
がある。秘書は急病で意識を失ったふりをし、それを原野に気付かせる
ためだったのだ。
  
  原野はとっさのことにバランスを失ったが、なんとか体制を建て直した。
今のニアミスの瞬間が脳裏に浮かぶ、(確か、操縦士はうつ伏せていたよな・・・・。)
原野はイオボードを急降下させた。パナスライダーに追いつくと、あの
笹部雄飛朗が助けを求めている。

  (こいつは大変だ!)
原野は笹部にハッチを開くようジェスチャーで示した。笹部はひきつった
顔でハッチをなんとか開くと座席にしがみついた。原野はイオボードの
セイルをたたむとそのままパナボードで滑空、パナスライダーに接近し、
操縦席へ飛び乗った。
急降下していたパナスライダーは何とか体制を取り戻し、事なきを得た。

  翌日、原野は保健省に招かれ、笹部大臣から感謝状を贈られた。
「ご自慢のイオボードが台無しになってすまないね。しかし、お陰様で
助かったよ。」傍らに立つ秘書も深く礼をした。

  実はあの時、あまりにも急降下させすぎたために秘書は本当に気を
失っていたのだ。危ないところだった。ともあれ、笹部の計画は成功を収
めた。その日のニュースはこぞって原野イオが笹部大臣を救ったことを報じた。
たまたま現場に居合わせた一般人が撮影した映像も公開され、彼はアウ
トローから一躍ヒーローになったのだ。

  その後、笹部は委員会にタイムトラベラーとして彼を推薦し、委員会も
満場一致で賛成した。

更新日:2010-02-02 20:53:30