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小説

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タイムトラベル


  タイムトラベル、それは好奇心旺盛な原野にとって、
とてつもなく魅力ある言葉だった。それが今、自分のも
のになろうとしている。笹部大臣の推薦を断る理由など
、どこにもなかった。

  しかし、拘束されることが誰よりも嫌いな彼には、タ
イムトラベルのための教育訓練は苦痛以外のなにもの
でもない。教育係りには前回の候補者3人が当たるこ
ととなった。たまには新しいイオボード(笹部がお礼に
タイムトラベル研究所に依頼、最新技術を投入したイオ
ボードをプレゼントした。)でエスケープすることもあるが
タイムトラベルという夢のために彼はなんとか頑張った。

  半年の訓練を経て彼はようやくタイムトラベラーとして
合格点を与えられた。特に卓越していたのはやはり、想
定外のトラブルに対する対処で、スタッフ一同をうならせた。

  そして、いよいよタイムトラベルの日程が2ヶ月後に決まり、
最終的な打ち合わせが始まった。

  「目標年月日は西暦1999年9月1日とします。場所は現在地、
つまりこの空中都市の下、地上になります。原野イオさんの現地で
の職業は名水の販売。水は当空中都市の飲料水を商品とします。」

  水の販売により、当時の通貨を入手、それを元手にグラナを購入
するというプランだ。当時の資料によると、人々は名水と呼ばれる各
地の美味しい水に、お金をだして購入していたらしい。
空中都市の飲料水は上空の大気より集めた水分を処理したもので、
分析では当時の名水に味は劣らないとの結果が出ている。

  20年前、タイムトラベルが中止になったが、その一つの大きな理由
がトラベルの過程でスリップアウトしてしまうことがあり、行方不明者を出
してしまったことにある。

  今回はタイムトレイサーシステムの開発によりスリップアウトの危
険性が軽減された。これは、超小型のタイムマシンを先行して目標と
現在を往復させることでいわば道をつけるようなものだ。

 それから、現地での協力者が必要になるがメモリーインジェクターの
使用によりすでに関係すると思われる人間には、必要な記憶の刷り込
みが完了している。これはタイムトレーサーとして使われる超小型タイ
ムマシンの遠隔操作により行われた。

そして、いよいよその日が来た・・・。

更新日:2010-02-05 20:05:43