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BOY MEETS GIRL

僕の父さん、
崇義は16歳になったと同時に中型バイクの免許を取得しました。
騒音やかましい迷惑ライダーではなく、
礼儀正しいバイカーだったそうです。(←本人談)
長期の休みの度に、寝袋を持って全国各地を旅していたそうです。
高校を卒業して、某鉄道会社に就職しました。
回数こそ減りましたが、年に数回のツーリングが生き甲斐の青年でした。
…あれ?…女っ気なし?

僕の母さん、
仁美は会社社長の父と旧華族出身の母の間に生まれました。
何不自由なく暮らしていた、正真正銘の超がつくお嬢様。(←本人談)
長期の休みの度に、
北は北海道、南は広島まである各地の別荘に滞在していたそうです。
小中高と名門女子校に通い、音楽大学に進学。
趣味は愛犬・ちゃこ(トイプードル・♂)とのお散歩。
…男っ気は…まったくナッシング。

崇義君が22歳になる夏の事、ふと思い立って長期休暇を取り、
寝袋を持ってツーリングに出立。
風の向くまま気の向くまま、
気付いたら軽井沢に辿りついていたそうです。
宿に泊るとお金がかかるので、寝袋で野宿するのが毎度の事。
ただそこは別荘地エリアだったので、
変な所で寝ると“不審者”に思われ通報されてしまう恐れがあるので、
バイクを走らせながら、どこで寝るか考えていました。
そこへ目の前に飛び出して来た1匹のわんこ。
『のわっ!?』
動物好きの崇義君。
轢いてなるものかと急ハンドル&急ブレーキ。スリップ&転倒。
10Mほどバイクに引きずられて壁に大激突。
引きずられている間に、
わんこの飼い主と思われる女性が目に入ったらしいのですが、
「天使だ…天使が俺を迎えに来た…」
と本気で思ったらしいです。
…転倒した拍子に頭でも打っていたのかもしれません(笑)。

仁美ちゃんが19歳になる夏の事、
大学生になって初めての夏休みは、軽井沢の別荘に滞在。
本当は北海道の別荘に行く予定だったらしいのですが、
訳もなく、急に軽井沢に変更したのだそうです。
母親とお手伝いさん数名と愛犬・ちゃこと共に過ごす優雅な避暑生活。
その日は、父親がやっと休みが取れて別荘に来ると言うので、
いつもより早目にちゃことお散歩に出かけた仁美ちゃん。
今日も人気のパン屋のパンが売り切れだったわ…と考えてる隙に、
ちゃこが急に走り出してしまいました。
『ちゃこ危ないわよ!…そっちは車通りが激しいから…』
と言った瞬間、ちゃこの目の前スレスレを、
ビュンと地面を這うように横切った物体が目に入りました。
それが転倒したバイクと人である事、
そしてそれは、ちゃこを避けんが為に起こった事故である、
と言う事に気づくのに数秒かかったそうです。
分かったと同時に物体は激しく壁に激突。
「死んじゃったわ…今のは確実に死んじゃったわ!」
と本気で思ったそうです。
…僕の思い込みの激しさは、どうやら親譲りのようです(笑)。

更新日:2009-12-26 23:51:46

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