• 21 / 57 ページ

第八章-夢想Ⅱ

---ここは・・・・、・・・・?

白く、何も無い空間。
否。白くはなく、ただの透明だ。

---何で私、こんな所に居るんだろう・・・・?

こんな何も無い世界に、私は居た。
何故、どんな過程でここに来たのかは分らない。
ただ、ふと夢に覚めたように、ここに居たのだ。

---・・・・ぅん・・・・?

何だかふわふわしていて、まるで夢の中のよう。
私はついまどろんで、寝てしまいそうになり、目を手で擦る。
と、私がうとうとしていると、上の方から仄かな光が見えた。

---え・・・・ッ空ッ!?

そう、そこには空が居た。
何故か空は、複数の黒い人達に囲まれ、蹴られたり殴られたりしている。
私はいきなりの事に、言葉を失い、呆然としていたが・・・・。

---こんにちわ。愛しい私の『御人形』(ドール)さん?

澄んだ綺麗な、大人の女性の声。
私は思わず周りを見回したが、女性らしき人影は無かった。
見えるのは、空が殴られている光だけ。

---どこに居るのッ!誰ッ!?

何処からか聞こえてくる声に呼びかけてみるが、当の女性はクスクス笑ったままだ。
ふと、クスクス笑う女性の声が止んだ。

---ねぇあなた、アレ、何か分かる?

アレ、というのは空の事だろう。
私はその言葉に反応するように、目を見開いた。
そんな私の反応に、私の事が見えるのか、またクスクス笑い出した。

---ふふ、驚いてる驚いてる♪ねぇ私の愛しい『御人形』さん。あの子は何故、あんなにも甚振られていのか分かる?

私は目を見開いたまま、ゆっくりと首を振る。
どういう事かあまり分らない。
というか現実感が私の中でまるで無く、ただ茫然としていた。

---それはねぇ『御人形』さん。あなたのせいなのよ?

え・・・・、・・・・?
・・・・何を言っているの?
・・・・何が言いたいの?
私には何が如何なっているのか、分からない。

---あなたが弱ぁいせい。

違う。

---あなたがいつまでも子供だったせい。

違う。違う。

---あなたが足を引っ張ってしまったせい。

違う。違う。違う。
違うから・・・・止めて。

---全部、全ぇ部ッ!あなたのせい!私の愛しい『御人形』さん!

違う。違う。違う。違う。
だから・・・・お願いだから、止めて・・・・言わないで・・・・。

---違わないッ!!あなたが皆を傷つけたのッ!!

・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぼわっ。

私の中で、何かが弾けた。




更新日:2010-05-07 22:50:27

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook