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第五章-真実

「・・・・ん・・・・。」

ふっと空は、目を覚ました。
ゆっくりとぼやけていた視界が、はっきりしてくる。
どうやら空は、病室のベットに寝かされていた。
白色が印象的で、まるでそれは穢れを嫌う天使の羽の中に居るかのよう。
空は意識がはっきりせず、ぼんやりと個室の病室の壁を見ていた。
そんな時・・・・。

ガラッ!!

と大きな音をたてて、病室のドアが開いた。
そこに居たのは、
「蒼衣・・・・?」
そう、蒼衣だ。
蒼衣は、上は柄がついたTシャツで、その上から赤いチェックの服を着ており、下はジーパンとラフな格好している。
その手には、薄い赤色のスイートピーの花束を持っていた。
「おう。大丈夫か?空。」
蒼衣が椅子に座りながら、心配そうに聞いてくる。
しかし空はまだぼんやりとしていて、何だが頭のピントが合ってないようで、現実感がまったくもって無かった。
だが少しずつだったが、頭の機能が動いてきて、魔獣(モンスター)の事、夏菜の事を思い出し、
「あ、蒼衣ッ!!夏菜はッ!?」
と思わず叫んでしまった。
すると蒼衣は少し苦い顔をし、目を伏せる。
それだけで、空は十分だった。
「か、夏菜は・・・・。」
辛そうに、言いにくそうに、話を切り出す蒼衣。
答えを分っている空としては、辛い以外の何物でもない。
しかし蒼衣は言った言葉は、空の予想に反したものだった。




更新日:2010-05-20 17:42:59

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