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第四章-夢想Ⅰ

私がここに居る権利なんて、あるのだろうか。

ふと、時々、こんな馬鹿げた不安にかられる時がある。

不安で不安で、居てもたってもいられず、彼に相談したことがある。

すると数秒だけポカンとすると、すぐその後、大声で笑い出したのだ。

私としては真面目に相談したつもりなのに、こんなに笑われて、自分で顔が真っ赤になっていくのが分った。

それと同時に、心の中の何かが解けて行くのも。

私自身、良く分らない。

ただ、何だか身体が軽くなる感じ。

心に何か暖かいものが流れ込んできて、お腹がポワンと、その暖かみが広がる。

そんな感じでもあった。

いつまでも、この余韻に浸っていたい。

心地良い。

そう思い瞼を少し閉じるも、周りの人達の声が邪魔で、上手く浸れない。

---せっかく、久々にいい気持ちで寝れると思ったのに・・・・。

ふぅ、と私は諦めたように溜息をつく。

それが気になったのか、笑いを止めた彼が心配そうにこちらを見ていた。

---うぅん。やっぱなんでもない。気のせいだったのかもね。

私がそう言うと、彼は安心したように、はにかんだ。

きっとさっきの暖かみは、あなたの贈り物なんだね・・・・。

ふわっと、先程より一層身体が軽くなる。

私は彼に向けて綺麗に笑うと、一言。

---さようなら、空。---




更新日:2010-05-20 17:38:36

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