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薔薇 トンネル 少女 (ホラー)

ある日の夜、突然降り出した大雨。
俺は、不幸にも傘という物を持っていなかった。

暗闇の中山道を必死で駆け上がり漸く辿り着いたその場所は、今は殆ど使用されていないトンネルだった。
俺はそこで、暫くの間雨宿りすることにした。

そこへ、一人の幼い少女が通りかかった。
降りしきる雨の中。
少女も傘を持っていなかったけれど、何故か全く濡れていないようだった。


美しい栗色の髪と真っ白な肌のその少女は、不自然なまでに赤い唇をしていた。
その色は、深紅の薔薇を想像させた。


…雨の中、しかもこんな真夜中に幼い少女が一人で何処へ?


不審に思い彼女を見詰めていると、少女は俺に向かってにっこりと微笑んだ。
それから彼女はとても嬉しそうに言った。
「やったぁ!やっと、お友達が来てくれた!」

その瞬間、俺の身体から大量の血液が溢れ出した。
それは、彼女の唇と同じくらい鮮やかな赤色だった。



ああ、そうか。
…そういえば俺、ここに来る途中で車に轢かれたんだ。



「これからは、ずっと一緒だね。お兄ちゃん!」
徐々に薄れていく意識の中、幼い少女がまた嬉しそうに笑った。



                                       …FIN

更新日:2009-12-17 23:31:53

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