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ミッション3 ひかりを守る!

昴くんは、食べ終わるとお皿を片付け出した。

「私が、洗うからいいよ。」

私がそう言うと、昴くんは黙ってソファに移動した。

私はキッチンで洗い物を終えて、昴くんの隣に座った。ベタ・・・と、はりついて。

昴くんは、またそのままにしていた。

時々、外から鳥の声がした。リビングの大きな窓からは、木々が見え、木漏れ日が差し込んでいた。

今日はいい天気なんだな・・・

テレビをつけて、昴くんはまた、ぼ~ってしていた。

「もうすぐ正月なんだな・・・。なんか、そんな気まったくしてなかった。」

「うん。」

「うちじゃ、正月も何もないな。」

「昴くんのお母さんやお姉さん、どうしてるの?」

「・・・・。喪にふしてる。昨日葬式だったから。」

「・・・・。お通夜は・・・?」

「一昨日・・・。」

「昴くん、出たの?」

「出たよ。おふくろはずっと、泣いてた。親父の会社にいた連中が、葬儀をいろいろとすすめてくれた。」

「・・・・・・。」

「俺、ここ一ヶ月、夢でうなされてた。」

「え?」

「親父が死んだことなんて知らなかったけど・・。行方不明になってからだな。」

「どんな夢?」

「・・・・・。ただ、誰かに責められる・・。そんな夢。」

ああ、昨日見た夢みたいな、そんな夢なのかな・・・。

テレビの中のお笑いタレントたちが、わいわいにぎやかにする中、昴くんの表情は、まったく変わらず、それどころか、テレビではなく、もっと遠くを見つめているようだった。

ギュ・・・。

なんだか、昴くんが遠くに行ってしまう感じがして、私は思わず昴くんの手を握った。

「何?」

昴くんが、聞いてきた。

「・・・・・・。」

私は黙ったまま、昴くんの指に私の指をからめた。

昴くんは、顔を私に近づけて、それからそっとキスをしてきた。私は、もう一回昴くんに、キスをした。

「あんたさ・・・男性経験ないのに、キスはうまいんだな。」

昴くんが、ぼそってそう言った。

わ・・・。なんかいきなり、恥ずかしくなった。高い次元の昴くんなら、今の私の恥ずかしいっていう思いを察知しちゃって、心で、ひかり、照れてる?!ってからかってきただろうに・・・。

そうだ・・・。高い波動の昴くんも、この次元の昴くんの中にいるはずだ。きっと、今もこっちの昴くんの心の奥底で、私を感じたり、この状況を味わっているはず。

昴くんの腕にもたれかかり、昴くんの指をギュウって握り、心で、言ってみる。

『昴くん、聞こえる?』

でも、何も聞こえなかった。

「あんたさ・・・。もしかして・・・。」

「え?」

こっちの次元の昴くんが、話しかけてきた。

「俺に、ほれたの?」

「・・・・・・。」

ものすごく、まじめな顔で、聞いてくる。

「えっと・・・・。」

これは、もうほれたと言ったほうがいいのかな。

「・・・うん。」

私はこくって、うなづいた。

「なんで?」

「え?」

なんでって聞かれても・・・・。

「なんでかな・・・・。」

私には、なんて答えていいかわからなかった。どんな次元の昴くんも、どんな昴くんも、愛してるから・・なんて言っても、きっと通じないだろうし。

更新日:2009-12-09 21:11:39

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