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人物紹介「午・未・申・酉・戌・亥」

馬飼 佐助 憑き神:午
足の速さでは誰にも負けないのでは? と思わせるくらいの俊足の男の子。
しかし、そんな俊足からはかけ離れているが彼は弓道を嗜んでいる。
オリンピックでも通用するんじゃないかと周りの人間に惜しまれているが、彼は弓道に一筋だった。
的を射るとき、心が静かになる瞬間が彼は大好きだったのだ。
そこは誰にも踏み入る事の出来ない彼だけの聖域。そして心のままに放った矢が中心に刺さったときの音、世界。
こんな喧騒だらけの日本という国で、誰よりも心の静寂を大事にし続ける彼だったが、静寂とは程遠い、戦争という破滅へと、身を投じる事となる。

高安 羊子 憑き神:未
物静かな女の子。歌が大好きで幼少の頃から暇があれば歌を歌う、優しい子だった。
『だった』というのは大いに語弊があるが、彼女もまた過去に辛い経験をし、その心を内側へと閉ざしていた。
内側へ閉ざせば閉ざすほどに、彼女の周りから人が離れていった。
あんな事さえなければ・・・。彼女はいつもそう思いたかった。でも、優しく、弱い心がそれすらも許してはくれない。
心に深い溝を作り、その溝を解消する事もままならないうちに・・・、戦争はまた彼女を追い込んでいくのか。

猿飛 和也 憑き神:申
天然のお調子者で、いつも皆に笑いを振りまく人気者。だが、それが彼の全てではなかった。
常に自分に注目を集めさせようと、姑息に考え、人を傷つける事をも厭わない。
優巳が肉体的に傷を加えるなら、彼は精神的に人を傷つける性格だった。
しかし、それを自分が手を下したという概念を植え付けさせない狡猾さも彼は会得しているのだろうか。
そんな姑息な事をしていても立場は『人気者』だった。考えも、手先も、何もかもに関して器用なのかもしれない。
ある意味この戦争でのダークホースになり得る存在が、鼻歌交じりで体育館へと足を進めていた。

鳥居 光輝 憑き神:酉
一言で言えば『ガンマニア』。子供用拳銃から改造すれば殺傷能力をも持つモデルガンまで、幅広い銃を持つマニア。
所詮は玩具でしかないが、彼はそれらを宝物のように扱っている。
飾り用と射撃用に一つの銃につき二丁買う程の力の入れようだ。
毎日、帰宅途中友人と別れてからは一人で「あーでもない、こーでもない」と、銃をいじくって遊んでいる。
ただ、そんな彼には致命的な弱点があった。近眼なのである。
肉眼でリアルに標的を感じ取りたい一心で、彼は目のレーザー治療を受けようか考え中だった。
欲望に前向きな散財馬鹿だが、射撃の腕はやはり高かった。
玩具の銃でこの戦場を乗り切れるのかは定かでは無いが、彼は思う存分銃を放てるチャンスを得る事になる。
それが幸か不幸かも定かでは無いが・・・。

犬淵 大和 憑き神:戌
義理、人情に厚く、自分が世話になった人には忠誠の限りを尽くす男。
しかし、善悪を世間一般の目で見れない所があり、自分の中の基準で善悪を判断してしまいがち。
それこそ世話になった人が問題を起こしても、その人を善と決め付けてしまうほど・・・。
性格面以外では時代劇が大好き。義理、人情の塊である時代劇は彼にとってバイブル。
模造刀や、小判のレプリカなども所持している程で、彼の一番のお気に入りは、くないとの事。
彼はこの戦争の中で誰に忠誠を誓うのか、それとも義理、人情の元に斬って捨てるのか、戦争の時は近い・・・。

藤堂 亥 憑き神:亥
列記とした剣道一家に生まれた男の子。
日夜親が実際に使用する目的で購入した真剣を使って稽古に励んでいる。が、彼の太刀筋が実の親を皮一枚裂いたことはこの年になってまだ一度も無い。どんなに力を込めて振るっても、サラリとかわされ、逆に薄皮一枚を裂かれる。
彼自身は剣道3段の腕を持っているのだが、それを持ってしても親に一太刀を浴びせれた事は無い。
親が言うには、彼の太刀筋には欠点がある。との事だが、それが分かれば苦労しないし、一太刀くらい浴びせいれる事ができているだろう。
答えが見つからぬまま時は過ぎ、彼は戦争という実戦の場に『欠点』を残したまま、馳せ参じる事となってしまった。

更新日:2010-02-25 04:59:48

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