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十二支神
それは、些細な言い争いから始まった―
『干支』
十二支を司る神の宴の場での出来事。
十二支とは言わずと知れた、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥、の事である。
その神々が親睦を深めるために開いた宴。
その場で、寅が放った一言が全ての始まりだった。
『錚々たる顔ぶれが揃った手前でこんな事を言うのはアレだが、今一番勢いがある神って言えば、俺だよな』
既に宴は酣。普段は皆、事を荒げない温和な神々なのだが、ここは酒の場。
無礼講か、はたまた酔いがそうさせたのか、寅は十二支で我こそ1番と他の神を差し置いて鼻を伸ばした。
また、普段は仮にこのような事を言われても相手にしないのが常なのだが、やはり酒の力。
猪突猛進、勇猛果敢の亥がこの発言に食って掛かった。
『何を言う寅風情が! 口を慎め! 第一お前が一番だと? 片腹痛いわ!』
温厚な人ほど怒ると怖い。それは神にも言えた事のようで、辰がヤレヤレといった感じで仲裁に入った。
『酒の場で、無粋であろう? 誰が一番かなんて些細な事を気にしていては、神とは言えんよ』
落ち着いて仲裁に入る辰。
言ってる事は至極真っ当、誰しも自身を省みる必要があるとさえ言える。
しかし、この場を既に面白がっている子が収束に向かっている事態を更にややこしくさせた。
『辰さんもそんな事言ってるけど、一番上から目線っすよね?」
三枚目な笑みを携えて、馬鹿にしたように煽る子。
未がソレを見かねて落ち着きなさいよと宥めるも、今度は申が食ってかかる。
『辰さんは人間世界でも伝説とかって言われてるもんな。何で十二支に架空の存在が混じってんの?』
あっ、言っちゃった。と静かに飲んでいた他の神が盃を落としたと同時、温和な辰が遂に切れた。
『架空と言ったか貴様。よろしい。ならば伝説と言われた力を見せてやろう』
今にも火炎ブレスでも吐き出しそうなほど静かに怒る辰に、何故か巳が提案を持ちかけた。
『じゃあ、現世で誰が一番か決めるって言うのはどうでしょうかね?』
『干支』
十二支を司る神の宴の場での出来事。
十二支とは言わずと知れた、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥、の事である。
その神々が親睦を深めるために開いた宴。
その場で、寅が放った一言が全ての始まりだった。
『錚々たる顔ぶれが揃った手前でこんな事を言うのはアレだが、今一番勢いがある神って言えば、俺だよな』
既に宴は酣。普段は皆、事を荒げない温和な神々なのだが、ここは酒の場。
無礼講か、はたまた酔いがそうさせたのか、寅は十二支で我こそ1番と他の神を差し置いて鼻を伸ばした。
また、普段は仮にこのような事を言われても相手にしないのが常なのだが、やはり酒の力。
猪突猛進、勇猛果敢の亥がこの発言に食って掛かった。
『何を言う寅風情が! 口を慎め! 第一お前が一番だと? 片腹痛いわ!』
温厚な人ほど怒ると怖い。それは神にも言えた事のようで、辰がヤレヤレといった感じで仲裁に入った。
『酒の場で、無粋であろう? 誰が一番かなんて些細な事を気にしていては、神とは言えんよ』
落ち着いて仲裁に入る辰。
言ってる事は至極真っ当、誰しも自身を省みる必要があるとさえ言える。
しかし、この場を既に面白がっている子が収束に向かっている事態を更にややこしくさせた。
『辰さんもそんな事言ってるけど、一番上から目線っすよね?」
三枚目な笑みを携えて、馬鹿にしたように煽る子。
未がソレを見かねて落ち着きなさいよと宥めるも、今度は申が食ってかかる。
『辰さんは人間世界でも伝説とかって言われてるもんな。何で十二支に架空の存在が混じってんの?』
あっ、言っちゃった。と静かに飲んでいた他の神が盃を落としたと同時、温和な辰が遂に切れた。
『架空と言ったか貴様。よろしい。ならば伝説と言われた力を見せてやろう』
今にも火炎ブレスでも吐き出しそうなほど静かに怒る辰に、何故か巳が提案を持ちかけた。
『じゃあ、現世で誰が一番か決めるって言うのはどうでしょうかね?』
更新日:2009-12-06 00:18:22