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第七章 不夜城の夜

■ ■ ■ ■ ■

「パチュリー様、小悪魔、それと御剣さん。おゆはんの用意が出来ましたよ……って、何をしてるんですか?」
「……徒歩で歩き回るには広すぎますよ、ここ」
 日が落ちた頃、咲夜が図書館へやってくるなり見たのは、床に手を付いてうなだれる社の姿だった。咲夜はそれに首を傾げつつも、
「ところで、パチュリー様は?」
 と問いかける。
「ああ、パチュリーなら自分の部屋で休んでますよ。夕食時には起こしてくれって言ってましたけど」
「え……」
 答える社に、咲夜は僅かに顔を引きつらせて呻いた。その様子に、今度は社が軽く首を傾げて尋ねた。
「どうしたんです?」
「いえ、別に……」
 目線を反らしつつ答える咲夜。彼女はさっさと踵を返すと、社に顔だけ向けて告げる。
「それじゃあ、私は準備を済ませてきますので、御剣さんはパチュリー様を起こしてきてください。よろしくお願いしますよ」
「あ、ちょ……」
 咲夜は言い終わると、社が制止するより早く去ってしまった。とても違和感を感じる反応だ。
「ふむ……」
 とりあえず立ち上がると、社は小悪魔の姿を探すが、近くには見当たらない。知覚子を使おうかとも考えたが、下手に制御しきれない物を使うのも危険だ。
仕方なく、社は図書館の奥へ舞い戻り、パチュリーの部屋の扉の前に立った。扉をノックしつつ、奥に声をかけてみる。
「パチュリー、もう晩御飯だぞー。起きてこーい」
 そのまましばらく待ってみるが、中から反応はない。
「さて……これ中に入っていいものかな。一応女の子の私室っぽいんだが……」
 と、社は呟いてみたものの、起こせと言われた以上はそうしないわけにもいかないだろう。なるべく中のものに目を向けないようにしようと心に決め、社は扉を開いた。
 部屋の中は、ある意味殺風景だった。大きな机にはうず高く本が積まれ、何かを書きこんだ紙も見当たるが、基本的に目に入るものはその程度だ。飾り気というものがまるでない。その部屋の奥に、ひとつのベッドが見えた。掛け布団がこんもり膨らんでいる。
「あそこか……」
 社はベッドに歩み寄る。近づいて見ると、完全に掛け布団に埋まるようにして寝ているらしい。

更新日:2009-12-18 19:34:16

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