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第三章 月夜の団欒

■ ■ ■ ■ ■

「すいません、お客さんに手伝ってもらっちゃって」
「気にしないでください。こちらこそ厄介になる身ですから」
 流しで手を洗いながら、社は早苗に応えていた。それはそうと、どうやって水道が引かれているのか疑問でならない。思い出せば、さっきの居間にも時計が掛けてあった気がする。妖怪の山はどうなっているのか。
 そのあたりのことを尋ねると、早苗はきちんと説明してくれた。
「水は、ここより高いところを流れる河までパイプを引いたんです。だから、ポンプで吸っているんじゃなくて重力で流れ込んできているんですよ」
「へぇ。強度とか継ぎ目とか色々と問題ありそうですけど、大丈夫なんですか?」
「ええ。パイプを引いたのは私ですから。奇跡的に問題ナシですよ」
「…………」
 そう言えばこの人、奇跡を起こす程度の能力を持ってるんだっけと、妙に納得する社だった。でも元々そういう用途の能力だっけ?
「さて……食材は何があったかな~」
 と呟きつつ、冷蔵庫をバコっと開けて中を漁る早苗。ちなみに後で聞いたところ、この冷蔵庫も電気は使わず、湖の氷精――早い話がチルノに貰った氷で中身を冷やしているらしい。氷用の部屋を作って、そこまでの距離で各部屋の温度調節をしているんだとか。
「何かいい物はありましたか?」
 早苗に声をかける社。だが、それが聞こえているのか否か、早苗は薄く開いた扉の中身を一つ一つ指さしながらブツブツ言っている。
 しばらくして、早苗が顔を上げて、宣言した。
「よし、今日はすき焼きにします」
「料理する気満々で厨房に立ってから言うことではない気がしますが」
 思わず軽くツッコむ社だが、早苗は特に気にせず続ける。

更新日:2009-11-25 18:27:57

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