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第九章 軍神舞う空

■ ■ ■ ■ ■

「さて、今日は魔理沙は来るかね?」
「望み薄ね、昨日の今日で、すぐに来るとも思えないわ」
 魔理沙を撃退した翌朝、社とパチュリーは図書館で会話していた。社は両手に抱えた本の山を、どっこいしょと机の上に積む。パチュリーはその最上部から一冊の本を手に取ると、開いて目を落とす。
「やれやれ……逃がす気はなかったんだがなぁ」
 ため息とともに呟く社に、パチュリーは目を向け、
「そう言うなら、次はきちんと――」
 と言いかけたときだ。
 バタンッ!
「!」
 大きな音を立てて、図書館の扉が開かれる。それに鋭く反応し、社は入口からは影になる位置に音もなく駆け込んだ。
「……魔理沙?」
 パチュリーが、扉の方に向かって声を上げる。だが、そちらから飛んできた人影は、魔理沙ではなかった。
「すいませんねパチュリーさん、今日は私なんですよ」
「……何だ、天狗か」
 姿を露わにした文に、パチュリーは途端に興味を失った様子で本に目を向けた。その態度に、文は肩を落としつつ、
「あややや、その反応はあまりだと思うのですが……」
 などと呟いた。が、彼女はすぐに元の笑顔を取り戻し、パチュリーに問いかける。
「ところでパチュリーさん、つかぬことを窺いますが」
「社ならそっちよ。どうせそれが目当てでしょう?」
 文が言いきる前に、パチュリーは本棚の方を指差す。ちょうどその時、社が文の前に姿を現した。苦い顔で、文に向かい片手を上げる社。
「やー文さん、お久しぶり」
「ようやく見つけましたよ。取材の約束ほっぽったツケ、きちんと払ってもらいますからね」
「その前に、ひとつ聞いておきたいんですが」
 息巻く文に、しかし社は制止をかけた。相変わらず苦い笑みを浮かべながら、社は文に問いかける。
「オレの居場所、もう誰かに喋りました? 具体的には八坂神奈子さんとかに」
 その問いに、文はきょとんとしつつも答える。
「え、ええ。あなたを見つけたら教えてくれと言われていたので。心配していたみたいですよ?」
「はは、やっぱりね……だから魔理沙を逃がしたくなかったんだよなぁ……」
 いよいよ沈んだ表情で呟く社に、文は首を傾げていた。だが、社は唐突に顔を上げ、パチュリーに目を向けた。

更新日:2010-01-04 11:35:16

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