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二学期

長かった夏休みが終わり、今日は二学期の始業式。
クラス中、夏休みの思い出などを語り合い、小さな喧騒が出来ていた。
俺たちも例に漏れることは無く、あまり色の無い夏休みの話をしている。
「浩二、そういえば宿題は終わったのか?」
結局、あの図書館以来、仲間が集まって勉強会を開く事は無かった。
それを危惧した俺は、浩二にそう問いかけたのだが、浩二は憤慨だと言わんばかりに顔を真面目なものに変え、言い放つ。
「なめんなよ! 稔ー!」
さすがにこの態度は予想外だった俺は、少し腰が引けながらも答える。
「あ、悪い悪い。さすがに終わってるよな。ちょっと気になっただけだから」
浩二も大人になったな。
スマン。といったジェスチャーを入れて、俺は浩二に謝る。が―、
「俺が一人で終わらせれる訳ないだろー!」

・・・。

その時の俺は仏のような顔をしていただろう。呆れで。

そして、浩二はなんの恥じらいもなく続ける。
「と、言うわけで。提出日までもうちょっとあるからさ・・・、手伝ってくれ!」
「断るっ!」
近年まれに見る綺麗な即答で、浩二の望みを却下してやった。
「明日は、宿題終わったのかしら?」
浩二と同じく馬鹿代表の明日に、京は心配からか尋ねていた。
しかし、明日は特に気張る事も無く、ふんぞり返る事も無く、答えた。
「うん! あんな『バカ』と一緒にしないでよね!」

・・・。

「あれ?」
楓が違和感から、そう発したのだが、思うことは皆同じだったようだ。
俺は浩二からの受信メールを思い出し、小声でバツの悪そうな浩二に話しかけた。
「おい、あの時どんな謝り方したんだよ?」
「いや、普通に謝ったぜ?」
「普通に謝って、どうしてこんな風になってるんだよ?」
浩二は『あの時』を思い返しながら答えた。

「明日ー!」
浩二が明日を追いかけるのに、それ程時間が経っていなかった事が幸いしたのか、割と図書館から離れていない場所で明日を捕まえる事に成功する浩二。
それに対し明日は、不機嫌を隠す事無く応答する。
「・・・何よ?」
「さっきは言い過ぎた! ゴメン!」
明日の不機嫌さを気にもしていないのか、なんら臆する事無く浩二は率直に謝罪の言葉を口にする。
「何? そんな事のためにわざわざ追いかけてきたの?」
「そんな事、って」
浩二の気持ちに暗雲が立ち込めていく。
「いいわよ、別に。それに実際、教えて貰うばっかりじゃ身にならないでしょ? みんなの効率も悪くなるだろうし」
表面上は、面倒くさい。という空気を出していた明日だが、心で思うことは違っていた。

更新日:2009-11-20 21:55:19

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