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夏休み 2

夏休みも三分の一が終わろうかという晴れた日。
俺は昼前まで惰眠をむさぼっていた。
親がいないとこういう所が自由でいい。グチグチ言われる心配もないし。
そんな心配もないし。

・・・心配してくれる人がいるっていうのは、鬱陶しいようで案外幸せなことなんだな。

最近、親の話をしたせいか、俺の心は少しの事で寂しさを感じるようになってしまったようだ。
そんな寂しさに包まれながらも、俺はまた、惰眠をむさぼるべく薄手の布団に包まった。

ピピピッ! ピピピッ!

無機質な機械音が着信を知らせる。携帯を机の上に置いていた為、バイブの音がやけに耳障りだった。
その耳障りな音を止めるべく、俺はベッドから離れ、携帯電話を手に取った。

『メール受信

送信者:浩二

件名:無題

本文:今日図書館で勉強会をするから森林公園に集合!』

あまりにも簡素な文章に、俺は苦笑したが、特別やる事といったら惰眠をむさぼるだけなので、『了解』と、これまた浩二以上に簡素な言葉で返信をした。

服を着替え、顔を洗い、エアコンの電源を切って、俺は真夏の暑さに顔をしかめながら森林公園へと向かった。

公園に到着すると、琢弥以外のメンバーは揃っていた。
明日は流石に今回は時間指定をしていなかった為、黒いオーラを纏ってはいなかったが、その代わりに、遅い! と一言投げかけてきた。
俺はそんな明日の不満を受け流し、琢弥がいない事を尋ねる。
「あれ? 琢弥はいないのか?」
「なんか返信が無くてさー」
浩二が少し面白く無さそうに答えた。
勿論、俺も面白くは無かった。春休みの時はこんな事は無かったのに。
「寝てるかもしれないから一回琢弥の家に行ってみようよ!」
珍しく明日からまともな意見が飛び出した。そのまともな意見に皆賛成なのか、一同はまず琢弥の家へと歩を進めるのだった。

―ピンポーン!

もう、何回くらいインターホンを押しただろうか。
「浩二、いないみたいだから。ソレやめとけって」

ピンポン! ピンポン! ピンポーン!

浩二は、おらー! とインターホンを連打していた。
俺の家にも同じ事をしてたんだな。傍から見てるとまるっきり馬鹿だぞ、ソレ。
そして、遂に諦めたのかインターホンから手を離し、一言叫んだ。
「うおー! 琢弥ー! 面白くないぞー!」
馬鹿はたまに真理をつくよな。
皆、考える事は同じなのか、確かに琢弥がいないと少し面白くない。そういった空気が漂ったが、またしても京が場を収束させて、俺たちは空調のきいた図書館へと向かう事にした。

更新日:2009-11-12 05:01:05

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