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祖父の日記

これはもしかして・・・母上が若かりし頃の、秘密の日記だったりして?
物置の整理を切り上げ、ゆっくりと日記のページを開く。

(2007年1月3日  曇り)
最近、体調がすぐれない。
新年が始まったばかりなのに、私の心は今日の空のように、どんよりと曇っている。
浩は、お正月の雰囲気にすっかり浮かれているが、受験は大丈夫なのだろうか。
  
おっと、とんでもない出だしだ!
これは、母上の日記じゃないぞ。
浩って、親父の名前じゃないか。
それに、2007年って、今から25年も前のことだよな。
だとすると、これは、ばあちゃんの日記か?
いや、この字は、ばあちゃんじゃない。
じゃあ、これは、じいちゃんの日記か?

(2007年1月31日  雨)
仕事がうまくはかどらない。
私の意見を、上司がことごとく却下する。
いったい彼は、仕事というものを、どう考えているのだろうか。
誰のための仕事なのか、全くわかってない。

・・・ふと、祖母の寂しげな横顔が、ぼくの脳裡をよぎった。


  
  
  

更新日:2011-02-15 15:56:04

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