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物置の宝物

あのあと祖母は、祖父とは関係ない世間話を少ししただけだった。

祖母がなぜ、今になって祖父の話を持ち出したのか、なぜぼくにだけ話したのか、いまひとつスッキリしなかったけど、ぼくの意識の中では、全てはもう過去のことで、いまさらどうこう言うことではないように思えた。
部屋を出る時、祖母の、ちょっと寂しそうな横顔が、少し気にはなったけど・・・

あれから何日か経ち、年の瀬も押し迫ったある日、ぼくは、母上から、庭にある物置の大掃除を命じられた。
面倒に思いながらも、母上から提示された小遣いの誘惑に負け、上下スウェットに身を包み、いざ物置へ!

物置の中は、想像以上に散らかっていたけど、時折、懐かしいおもちゃや雑誌、写真なんかを発見すると、その度に作業を中断し、しばし物思いにふけっていた。
そのうち、小判でも出てきたりして・・・なんて訳のわからない期待を抱きつつ、何とか片付きそうな目途がついたその時、突然、物置が大きく揺れた。

「ヤバイ! これは、ちょっとでかいぞ!!」
急いで物置を脱出、地震がおさまるのを待って、再び物置の中へ。
物置に入ったぼくの足元に、地震で転げ落ちた段ボール箱と、その中から飛び出たと思われる古ぼけた一冊の日記が転がっていた。




更新日:2010-06-14 14:34:11

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