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贈り物
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果てしない、闇の廊下。それは一つの地獄へと続く道である。
靴の音を響かせながら、男はその長い銀髪を揺らす。
「出来はいかがでしょうか」
銀髪の隣を歩く部下が、不敵に微笑む銀髪に問う。
「・・・訊くまでもないでしょう。完璧ですよ。あれは私の夢への第一歩ですから」
銀髪の瞳に、一瞬の殺意が揺らぐ。
それに気付いた部下は、いつも以上に身を縮ませ、黙って銀髪の隣を歩くことにした。
程なくして笑う悪魔が、地獄の門へと辿り着いた。その取っ手に、ゆっくりと手をかける。
「凛狛(りんはく)様!緊急事態です!」
来た廊下を戻る先、一人の部下の叫び声が聞こえた。
凛狛と呼ばれた男は、取っ手から手を離し、ただ目を細めた。
「・・・緊急事態・・・とは?」
殺意を帯びた声が、隣に佇む部下の心を貫いた。
「はっ!殺戮兵器『ワン・スロータァ』が地上へと逃亡した模様です」
部下が焦る気持ちを抑えて、左胸に付けられた赤い無線機からの情報を伝えた。
「・・・逃亡?」
銀髪が揺らぎ、笑みを貼り付けた顔が部下に向けられた。
「どういうことでしょうか。拘束体制は、十分に整っていたはず。第一、彼の頭にはチップを埋め込んだのでしょう。それが何故逃亡を図るのでしょうか」
凛狛が一歩、部下との距離を縮めた。
「・・・そ、それが、ワン・スロータァはチップを自ら取り出し、破壊したようです!この施設のゲート付近で、チップの残骸が見つかったみたいです」
部下は、直立不動のまま答えた。
「・・・そうですか」
凛狛は、笑顔のまま部下の横を通り抜けた。そして懐から、赤い無線機を取り出した。
「・・・施設内全員に告ぐ。殺戮兵器『ワン・スロータァ』が、地上へと逃亡を図った模様。直ちに装備をし、奴の確保に全力を尽くすように」
言い終えた凛狛の銀髪が、静かに揺れた。
果てしない、闇の廊下。それは一つの地獄へと続く道である。
靴の音を響かせながら、男はその長い銀髪を揺らす。
「出来はいかがでしょうか」
銀髪の隣を歩く部下が、不敵に微笑む銀髪に問う。
「・・・訊くまでもないでしょう。完璧ですよ。あれは私の夢への第一歩ですから」
銀髪の瞳に、一瞬の殺意が揺らぐ。
それに気付いた部下は、いつも以上に身を縮ませ、黙って銀髪の隣を歩くことにした。
程なくして笑う悪魔が、地獄の門へと辿り着いた。その取っ手に、ゆっくりと手をかける。
「凛狛(りんはく)様!緊急事態です!」
来た廊下を戻る先、一人の部下の叫び声が聞こえた。
凛狛と呼ばれた男は、取っ手から手を離し、ただ目を細めた。
「・・・緊急事態・・・とは?」
殺意を帯びた声が、隣に佇む部下の心を貫いた。
「はっ!殺戮兵器『ワン・スロータァ』が地上へと逃亡した模様です」
部下が焦る気持ちを抑えて、左胸に付けられた赤い無線機からの情報を伝えた。
「・・・逃亡?」
銀髪が揺らぎ、笑みを貼り付けた顔が部下に向けられた。
「どういうことでしょうか。拘束体制は、十分に整っていたはず。第一、彼の頭にはチップを埋め込んだのでしょう。それが何故逃亡を図るのでしょうか」
凛狛が一歩、部下との距離を縮めた。
「・・・そ、それが、ワン・スロータァはチップを自ら取り出し、破壊したようです!この施設のゲート付近で、チップの残骸が見つかったみたいです」
部下は、直立不動のまま答えた。
「・・・そうですか」
凛狛は、笑顔のまま部下の横を通り抜けた。そして懐から、赤い無線機を取り出した。
「・・・施設内全員に告ぐ。殺戮兵器『ワン・スロータァ』が、地上へと逃亡を図った模様。直ちに装備をし、奴の確保に全力を尽くすように」
言い終えた凛狛の銀髪が、静かに揺れた。
更新日:2009-10-25 14:58:11