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資料としての本

「ブック・オフ」に行き、何気なく100円均一のコーナーを見ていたら、『あなたの脳は退屈している』という本が目に止まりました。正に、飽きっぽい私にピッタリの本ではないですか!

 そこでさっそく購入し、読んでみました。濱野恵一さんという大学で心理学を専攻している方の書かれた本で、人の脳には新しいことに挑戦する「ハチュウ類型脳」と、常識・経験にとらわれる「新ホニュウ類型脳」とがあると書いてあります。

 毎日満員電車にぎゅうぎゅうに押し込められて通勤することや、仕事で頭に来るようなことがあっても我慢することなど、感情を抑えた理性的な行動をとり続けていると、倦怠感やストレスを感じて「新ホニュウ類型脳」が不調をきたします。すると「ハチュウ類型脳」が働きだし、思いつきで「ボディービルがやりたい」とか「ピアノを習いたい」とか頭に浮かぶそうです。

 それはしかし、高度な脳細胞を持つわれわれ人類に限ったことではなく、体長2センチほどの原始的な生物「プラナリア」ですらそうなのです。

 米国の生物学の実験で、T字型のプラスチック容器にプラナリアを入れ、水を抜いたそうです。プラナリアは水がないと生きていけないため、水を求めて歩き回ります。歩き回った末、ライトの下にある水場を発見します。この実験を何度も繰り返すと、プラナリアはライトのあるほうへ行けば水があることを学習するそうです。

 これは素晴らしい成果ですが、本当に大事なことはこれからです。

 このような実験を繰り返すうちに、プラナリアは水を抜いても動かなくなるそうです。これは、プラナリアのような生物ですら、「もうやめてくれよ、同じことばっかりさせるなよ」という倦怠感を覚えてしまうそうなのです。

 プラナリアですらこうなのですから、もっと複雑な構造の我々人類は尚更、退屈することに対して真剣に考えなくてはなりませんよね。

 毎日毎日同じ行動を繰り返していると、無意識のうちにそれをやってしまうことがあります。例えば、通勤中の電車の中から見える景色を覚えていないとか、鍵を掛けたかどうか覚えていないなど、こういった無意識の行動を「自動化」と呼ぶそうです。
 
 この「自動化」から脱却するために、ふっと気が抜けたときにタバコを一服したり、お茶を飲んだりすることでまた集中できるし、脳は活性するんですって。

 ただし、ちょっとした休憩時間も自動化してしまい、自分が休憩を取っているという意識のない人が多いのも事実です。コーヒーを飲むときに、その香りや味を楽しむ余裕くらい持ちたいものですね。

更新日:2010-01-17 11:12:25

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