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始まり

「な、なんだよこれ・・・」
俺は目の前にある異常な物体を見つめる
一定の形は持っていない
七色と言えば聞こえはいいが
物体の形状や発している雰囲気からして
逆に異常なさまを際立たせている
「これ、どうしよう・・・」
俺の後ろにいるティナが問う
「どうって言われてもな・・・多分逃げるのが最善だと思う」
無難な回答を提示する
「でもこのままじゃ・・・」
「それも分かってる、だけど今は自分達の身のほうが大切だ」
しかしティナは納得しない
「だめ、このままじゃだめ・・・みんなが危険に・・・」
「あー!分かった最低限のことはするだから逃げるぞ!いいな?」
「う、うん・・・分かったよ・・・」
こんな状況でも仲間の身を案じるか・・・なんつーか悪いやつじゃないんだけど
少しは自分のことも気にしたらどうだろう?
「でも何をするの?こんなの私達じゃ二人がかりでも倒せないよ?」
心配そうに尋ねるティナ
「まあ倒すのは無理でも・・・こうやって」
俺は手に持った杖に力を込める
『我は請う我に仇なすものに氷の戒めを』
俺は口語の呪文を唱え杖を振り下ろす
自分の魔力を物体の足元めがけて飛ばす
青白い魔力の塊は物体にぶつかると物体の足元で氷と化す
ピキピキピキ・・・
物体は足元に張った氷を破壊しようとするが
自分の支えとなっていた部分が動かなくなりほとんど動けない状態だ
「すごい、やるじゃないコウ!」
「感心してる場合じゃないぞ、ただの時間稼ぎださっさと脱出して応援を」
「うん、いこう!」
そうして出口に向かって走り出そうとした刹那
「っっ!?」
いきなり目の前がブラックアウトする
意識が消える寸前ティナの声が聞こえたきがした

更新日:2009-10-17 23:48:50

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