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光射す

「ごめんなさい!」

今、彼女の目の前で一人の男の恋路が終わった
別に嫌いだった訳じゃない
むしろ好きの方が大きいくらいだった
普通の人だったら、「この人となら」と快く承諾をしていたかもしれない
でも、私は―
男が残念そうに、すごすごと去っていく

ガサガサ―!

それを見計らったかのように後ろの茂みで物陰が動いた
「あんたたち、また覗き見してたわね?」
茂みからドカーンと二人の女が現れた
「もー!ラインってばどうしてOKしなかったのよ!」
「そうよ!かなりいい感じだと思ってたのに!」
覗き見していた事は謝らず、非難をラインという女の子に浴びせる
「うん。私もいいなって思ってたんだけど・・・」
じゃあどうしてOKしないのよ!と二人は口を揃えてそう言った
「それは・・・」
言いよどむラインに二人は、「まあ、いつもの事か」なんて軽い調子で答える
「でもさー、本当の話、そんなにモテルのになんで彼氏作らないの?」
ラインはまたも言いよどむ、いや、ずっと前から二人には明かしている事だった
「そんなどこの誰かも分からない奴に、想いを馳せるなんて、アンタ変わってるわ」
そうなんだ。本当にどうかしてると自分でも思う
幼い頃から、抱き続けた感情だった
いや、物心ついた頃から抱き続けた感情。
どんなに好意を寄せられても、私にはもっと好きな人がいる。
名前も顔も分からないんだけどさ・・・
やっぱり、私ってどこかおかしいのかなー。

そんな心を二人に読まれたのか、二人は揃って
「絶対おかしい!」
なんて口にした
う・・・そんなハッキリ心の声を読まなくても・・・

でも、何なんだろうな、この気持ち―


そして、からかうネタが尽きたのか、二人は退屈そうに去っていった
「もう、二人とも勝手なんだから」
プンプンと怒りながら、自分も帰ろうか、と振り返ったとき

一人の男性と出会った―

更新日:2009-10-29 04:53:02

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