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抑えきれぬ憎しみ

―これが最初の任務だった。
今思い返してみると、ラインの奴、相当無理をして任務にあたってたんだな・・・
5年間組んでいて、初めてラインが無理をしていた。なんて気付く。
当時の俺はそんな事にも気が回らないくらい、余裕がなかったんだな
そして、当の本人はまだ縁石の上で、コーヒーを嗜んでいる
俺の奇怪な目線に気がついたのか、何よ?なんて目線で返事をされた。
本当に可愛くないよな。永遠の謎だぜ、なんでコイツが俺と行動を共にしてるのか。

あの後、俺たちは老人から約束の報酬を受け取り、ある意味路頭に迷いかけていた
そう、この後に仕事をどこで調達すればいいのか分からなかったからだ
しかし、老人がラインを大層気に入ったらしく、老人が病に伏せるまで、仕事の斡旋をしてくれた
老人が死んだのが、もう2年前か・・・
自分が神である様な振る舞いをずっと続けていた老人が死んだ時、俺は神でも死ぬんだ。
なんて錯覚に陥ったのは、内緒にしておいて欲しいところだ
その後は、今、現在まで後任の『あの男』、『底の知れない男』が色々と俺たちの面倒を見てくれている
あれだけ良くしてもらって、未だにあの2人の名前も知らないが、
その方が仕事に支障が出なくていい。経験則でそう思う。
5年間で変わったことといえば、もう一つ。俺たちはあらゆる場所で仕事を受けるために、レイスの屋敷から出た事。
一点の場所に留まっていては、仕事がしにくいのと、危険が多いという事から2人で決めた事だ
だから俺たちは今、この狭い世界を転々として暮らしている。

「さて、ライン。報酬金でも確認に行くか」
「何?頭痛は治まったの?」
「頭痛?俺は別にどこも痛くないけど?」
「あら、そう。ずっと黙りこくっていたから、遂に頭がおかしくなったんだと思ってたんだけど、残念」
今、猛烈に思うことが一つある・・・
なんでコイツはこんなにも変わってしまったんだという事だ・・・!
全身の血を沸々とさせながら、俺たちは報酬金の確認に赴いた

うん、口ではあんな事言っていたけど、ちゃんと報酬金は入ってるな。
「なあ、ライン」
「何かしら?」
俺は口座の残高を見て、続ける
「次の仕事を最後にしようか」
そこでラインは目を丸くして
「私とのコンビを解消するって事!?」
その丸い目は、怒り、哀しみによって染まっていた
少なくとも、喜びと、楽観は入ってないように思える。少し怖かった
「いや、違うよ」
俺は尚も残高を見ながら続けた

更新日:2009-10-21 18:29:30

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