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形を成す

その日は疲れで早くに寝てしまった
レイスが形として唯一残してくれたこの館で
それでも、やはり寂しさは紛れない
どんなに屋敷が広かろうと、そこに、親愛なる人はいないのだ
それはまるで、折角新しい玩具を買ってもらったのに遊び相手がいない
そんな子供が感じる虚無感に似ていた
でも、その夜は不思議とよく眠れた
レイスが死んでしまった寂しさでいっぱいの筈だったのに
体がそれ以上に疲弊している。そんな理由じゃない
だって、精神のほうがこういった時、上の位に立つから
じゃあ何故よく眠れるのか
それは精神のお話であるからして・・・―

「デサイア!あっさだよー!」

彼女のおかげなんだろうか?

夢を見ていたのか、見ていなかったのか、よく分からない。そんな寝覚めだった。
長かったようにも思えるし、あっという間だったようにも思える。
しかし長らく形状は固定されていたのだろう、綺麗な形状を保った布団だった。
そんな綺麗な形状であるが故に姿は見えずとも確信はあったのだろう
彼女は一目散に布団に走りより、大きく跳躍した
着地した際の手ごたえににより彼女はさらに確信を強くして
先程の言葉を投げつけた
「起きてるよ、だから、どいて!重い!」
「あ、起きた?えへへー、朝だよ!デサイア!」
この年頃の女の子なら『重い』なんて言われた日には
怒って暴力的になるのが普通なのだが、彼女、ラインは怒るどころか
俺が起きた事が嬉しい、と言わんばかりの笑顔でその場に佇んでいた
「あっさだよー、デサイアー」
フンフンなんて鼻歌交じりに体を揺すっている
「いや、起きた・・・起きたから、どいてくれよ、ライン」
「え?なーに?どうしたのー?デサイアー?」
「う・・・、朝の支度をしないといけないから、起きます」
「そっかー、朝の支度大変だもんねー」
・・・前言撤回
「すいません、重くは無いんですけど朝、目が覚めました故に朝の支度をしないといけないので
そこを離れては下さいませんでしょうか?」
「んー、まあヨシ!」
そこでヒョイっと布団の上、もとい俺の上から離れてくれた
やはり、年相応の女の子だった・・・
これからは言葉遣いに気をつけよう
そんな事をまず始めに思った同居生活だった

更新日:2009-10-16 20:50:47

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