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6日目

朝の10時。
昨日の大雨が嘘のように晴れ上がっている。
湯弦は気だるい体を無理矢理起こし、朝食の準備をしていた。
梨桜がなかなか眠らせてくれなかったので、目の下にクマが出来ている。

突然、湯弦の携帯が大きく振動した。
電話だ。

「もしもし~♪湯弦お兄様?オハヨーございます」
電話の相手は満だった。
「満か。どうかした?」
「お兄様は今、お家ですか?」
「そうだけど…?」
電話の声で、梨桜が眠そうに起きた。
「じゃあ、今から行きますね♪」

湯弦は焦った。
今来られると、梨桜が…非常にマズい。
梨桜との関係を誤解される恐れもあるし、下手をすれば殺しがバレる。
かといって梨桜を隠すと、逃げられる恐れもある。

「待て!今、凄く忙しいんだ。これから出掛けなきゃ駄目だし」
「出掛けるまでで良いよ!もう着いちゃったし♪」

満が言い終わるや否や、インターホンが部屋中に鳴り響いた。
「今、着替えてるから、待って」

湯弦はこれまでになく焦った。
「あら?桃りん?やっぱ来たねぇ★」
呑気な梨桜に湯弦は駆け寄った。
「ちょっと隠れてて!!」
湯弦は梨桜を素早く縛った。

が、ウォークインクロゼットに放り込む瞬間に部屋の鍵が開いた。
「お兄様~☆引越手伝った時に頂いた合い鍵使っちゃいました…
 って、梨桜?!何やってんの?!」
「何って、監禁プレイ★」

湯弦は小声で「終わった…」と呟き、床に着いた。

実は、梨桜と満の間で、このようなメールのやり取りが行われていた。

"今、彼女はいないらしいが、最近湯弦とはどう?"
"最近忙しいと会ってくれない"
"会いたくないのか?"
"会いたい"
"なら、思い切って押しかけてみれば?
まだ出掛けてないうちに家に押し入れば大丈夫だろう"
"成る程。明日やってみる"

上手く誘導出来、梨桜もかなり満足だ。
当然、満が帰るまで湯弦は梨桜と恋人を演じ続けなければならない。
梨桜との恋人ごっこに疲れていた湯弦にとってそれは、大変苦痛だった。

後で覚えとけよ、と湯弦は梨桜に視線を送った。

更新日:2008-12-28 22:31:46

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