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第三章~裏切り~

幸せ!幸せ!幸せ!それ以外言葉が無い。自然と笑顔がこぼれる。
病院に慣れてきた私は病棟では色んな看護師さんと話をして、人の噂話にも参加してしまう様になっていた。噂は噂。好きだねぇーって思いながら気にもしていなかった。
ひろみも時々冬になると「毛糸のパンツ履いてるよ」と言って見せてくる。 
「ちょっとここ病院だよ」って冗談を言っては、綺麗な人だなって感心していた。真似すれば綺麗になるかな?
想像は得意。毛糸のパンツを買ってくれたり、化粧品の名前を聞いては見に行ったり。ひろみと仲良くしていた事を見ていた看護師さんはある日「彼女うつ病で時々調子が高くなったりするんだよね。」確かに毛糸のパンツを見せるのは異常な行為だよなぁ。
でも普通に綺麗って事でうつ病ってどんな病気かも解らないし、働いてるからそんなには気にして居なかった。
ひろみも「彼氏が医者で、この病院に当直医専門で来ている」と話をしてくれた。不釣り合い?と思う様な姿の医者。でも長く付き合ってるらしい。私も負けないぐらい耕ちゃんの話をした。同じ社内恋愛だ。だから軽々しく話せた。
婦長がスタッフが大好きって事もあり、毎月何かと名前を付けてはスタッフを誘い飲みに行った。
その日に夜勤に当たった人はショックと言うぐらい最高のスタッフ仲間。飲みに行ってはみんな写真を取り合い、病棟の控え室に貼って、誕生日には婦長が奮発してケーキを勤務中に買いに行かせる。
スタッフの子供とも仲良くなり、男では耕ちゃんが、女では私が一番最年少。良く可愛がられ、スタッフの子供も若い2人になついてくれた。子供もてるちゃんは?耕ちゃんは?と毎日言ってきて困るから、遊びに来てよって言われて2人で出掛けて、付き合ってるんですと報告するとお似合いだよ!と言ってくれる。
子供達も2人が一緒に来ると喜び連れて買い物に行ったりゲームセンターに出掛けた。温かい病棟だ。
そう感じて毎日すぎていく。やがて異動の時期になり、仲良しのスタッフはバラバラになっていく。ひろみは開放病棟に行ってしまう。他の看護師さんもあっちこっちの病棟に異動になってしまった。今度は違うスタッフが病棟に異動してきた。
慣れるまで大変かな?あの時を思い出す様な新しい看護学生が助手として入ってきた。見ながら耕ちゃんが入社してきた時を思い出した。

更新日:2009-10-14 00:17:27

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