「キミ」
彼女が僕に手紙を残した。でも、病院には残っていない。それもそのはずだ。彼女は信じていたのだ。僕が「キミ」を忘れないということを。絶対にまた会えるのだと。
だから僕は走った。僕も彼女を求めて。
視界が桜に覆われた。まるで僕を待っていたかのように、桜がその身を削る。
最後に、僕が「キミ」に会った場所。此処こそが、僕達の再会に相応しい場所。
「・・・・やっと会えたね」
僕は一際目立つ桜に近づいた。「キミ」がそこに待っていた。
桜の木の根元にある、一枚の手紙。最後の「キミ」。
僕は手紙を開いた。
更新日:2009-10-17 12:37:22