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プロローグ

彼に会ったのは去年の冬だった。
雪の降る寒い夜の日。私は新しい家庭教師を雇ったのだった。
インターホンが鳴り響き扉をあけるとそこに立っていたのは、長身でオレンジのショートヘヤに銀縁の眼鏡をかけた男性が立っていた。
まさに私の理想だった。
「こんにちは。君かな?黒浪千愛ちゃんは?」
と彼は優しく私に問いかける。
外は寒いからまだ喋ると白い息が出た。
その時の印象は今でも忘れはしない。が、
いまとなっては過去のこと。彼は今は全く違う印象を持っている。
「おい!千愛。早くしろよ!」
すごく口が悪くて性格も悪い。昔は暴走族のリーダーだとか・・・・。
私の知ってる彼は半年で消えてしまった。
今は、数学の問題集を買いに来ているところだ。
「おい!時間ねぇーぞ!」
と彼は急ぎたてる。
そうそう。私の名前は、黒浪千愛。13歳の中学一年生。好きなことは情報集め。部活は情報部所属。
そして、この
「おい!聞こえてんのか!」
と私を急ぎたてるのが私の家庭教師の、白神秋羅。21歳の大学生。好きなことはポーカー。職業は、家庭教師・数学講師(しかも私の学校の)。
彼はいつも私をポーカーで馬鹿にしている。最近は慣れてしまったが。
理想かと思われた彼は理想とははるかにかけ離れた人物だった。
が、私以外の人となると
「すいません。道を尋ねたいんですけど~。」
「はい。いいですよ。」
とこのように爽やか系眼鏡男子に変身するのです。
での、こんなの序の口。これから地獄が始まろうとは知る由もなかった。

更新日:2009-09-04 21:18:38

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