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高い道具は必要なのか!?

「製本を請け負って良かったなあ」と思うのは、印刷時、
紙やすりをかけているとき(丁寧に!)、検品の最中に作品が
いち早く読めることでしょう。
自分の知らないインターネットに、これほど素敵な作品がまだ
溢れているのかと感激する一瞬です(製本者の特権だ!)

「道具について」
手製本の入門書というのは、実はそんなに多くない。色々と
探したり、本屋さんで立ち読みしたりしてみたが、最終的に
どんなハンドメイドでもそうだと思うが、
「やってみなくちゃ全然わからない」というのが本当のところだ。

例えば、手芸だったりしたら「針と糸はいるよな」という、ぼんやり
とした想像が出来ても、製本の場合は「ところでなにが必要なの?」
というところが始まる。私もそうだった。漠然と「全然わからない」

★使っている道具や、製本過程などはオーダーがあったときに
自分のブログに、オーダーしてくださった方に対して
「誰の作品か」「どんな内容なのか」ということは秘匿にして
「こういう作業を今していますよ~」ということを写真つきで
公開している。騙し(笑)や誤魔化しがないという証拠にもなる
ので、ご興味がある方は、是非とも覗いてみて下さい。

最初はインターネットを通じて色々と調べて見様見真似。
そのうちに本を買ったりして熟読して、手探りで作品を作り続けて
いたのですが、

例えば、溝などを綺麗につけるための道具として「ヘラ」などが
必要。と本などにも書いてありますが、製本家さんが使っているのは、

「市販のものを自分で削ってカスタマイズすると良いよ!」
みたいなことが書いてある。

せいぜい、鉛筆削りか、かつおぶししか削ったことがない自分に
「ヘラを削れ・・・?」
どうやって?

しかも「針のように尖らせるのではなく、少し丸くなっていたりする」
のですね、写真を見ると。
「ははあ・・・傷をつけないためにこういうカスタマイズが必要な
わけなんですねっ」

・・・って、そんなこと素人が出来るかーっ!少なくとも私には
「さっぱり」でした。

しかしヘラがないと、美しく溝が出来ないことも、もう試行錯誤して
知っている自分。
「もうさ・・・考えていないで製本専門店みたいなところで道具を
揃えて買っちゃえよ~。どうせ長く使うんだからさ~」
と、自分アクマの囁き。


いやいやいや。なにかを始めてみよう!と思って
「道具を揃えて満足してしまった。一度やっただけで無駄になった」
そういうの、多いパターンだよね、きみっ!(また心の声)

そう、道具を揃えたところで「上手くなるという保証がない!」わけ
です。なのに高額をつぎ込んでしまう様と言うのは、まるで、
「この通販にさえ頼ってしまえば、英会話はペラペラになると想像できる
素敵な自分」みたいな?

製本教室と言うのもスッテキーだよねーっ!と思ったりもしたのですが、
私に必要なのは「美しい製本」「芸術作品ですなっ!」という「うっとり」
ではなく、あくまで主役は「中身の小説なんだよーっ」
中身が真っ白のノートが作りたいのではなく、自分の「小説本」が
作りたいんだよー。それが素敵に越したことはないけれど、果たして
自分は本当に「皮表紙」とか(中身の小説が伴っていないッスよ)とか、
羽が生えた本とか(素敵で飾っておくな。二度と読み返さないな。手垢
とかイヤだし)

いやいや。真っ白いノートに小説を綴る自分。素敵な物語が出来る
・・・・・・・・・・・・・・予感がするだけ。
私の場合は十中八九「手で書いているのが疲れましたのでキーボードに
頼ることにしました」という怠け者タイプ。

つまり、「高い道具を購入しても絶対に無駄にしてしまうだろう!」と
いう、本当に、誰かあのだらしなさを止めてくれよ。という杜撰っぶり
です。

更新日:2009-09-21 22:14:22

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