• 33 / 42 ページ

六法全書の弟へ


 実家に帰ることを決意した六花だったが、それを実行に移せた頃には、すっかり木々が色づき、落葉していた。

 つまり、秋である。

 六花は決意するところまでは良かったが、「あ、でも、来週は卒論の中間発表が……」とか「先生とミーティングしなきゃ……」とか、いろいろな理由をつけて逃げ始めた。最初は本当に予定が合わなかったのだろうと思っていた俺も、三回目ぐらいでやっと気付いた。



「それで、本当にいいのか? 冬になったらもっと忙しくなるぞ」


 そう言ってみると不機嫌そうに俺を睨みつけて、それからしおらしく眉を下げた。


「一緒に、来て?」


 永久保存した。

更新日:2009-09-28 00:36:29

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook