• 作品を探す:

小説

携帯でもPCでも書ける!

  • 8 / 11 ページ

異能の男-序章 その3

「リオード、身体の具合はどうだ?」

ラージールに着いて翌日、私は与えられた宿で隣の部屋に寝ているリオードを訪ねた。

「もう、だいぶいい」

リオードは起き上がって、笑って言った。
傷口はまだ痛んでいるだろうが、顔色はよかった。

「謝礼金は受け取ったか?」

「ああ」

「良いボーナスになったな」

私も笑った。
すると、リオードは私の姿をまじまじと見て「そうしていると女らしく見えるな」と真面目に言った。
確かに、今日の私は武人の出で立ちでもなければ、血まみれの悪鬼のような姿でもなく、髪を下ろして、白いゆったりとした部屋着を着ている。

「そういう失礼な物言いは普通、女にはしないものだぞ」

慌ててリオードは首を縮めた。

「す、すまん、エイダ。あんたはいつも落ち着いているし、その、なんか女性離れしているっていうか…。でも、そういう格好だと、全然違うなと思って。思ってたより若いし」

「幾つに見える?」

「おれと同じぐらい」

私は吹き出してしまった。

「おまえは幾つだ?」

「二十二になったばかりだ」

「私は二十五。おまえよりは年上だ」

リオードは曖昧な笑みを浮かべて、「若く見えるよ」と主張した。

「失礼なことを言ったかと思えば、今度はお世辞か。ま、差し引きゼロということにしておこう」

リオードは困ったような表情で私を見ている。
私は構わず続けた。

「若く見られるのは、武人としてあまりいいことではないよ。それに女だし、チビだし、いつもなめられるんだ。だから態度だけは偉そうにしているのだが」

「だけど、あんたは気負いがない」

この男はボーッとしているようで案外人のことを見ているな、と私は思った。

「そうだな…、師匠がよかったからな。ありのままの自分でいるよう、いつも教えられていた」

リオードがうらやましそうな視線を送ってきた。

「まあ、食えない爺さんなんだがね」

私はリオードに苦笑いして見せた。

「私のことはいい。それよりおまえのことだ」

私はベッドの端に座り、リオードを見つめた。

「話してもらおうか。あの能力はなんなんだ?」

リオードはうつむいて話すのをためらっていたが、やがてボソボソとしゃべり出した。

「おれは他人を助けることにしか、自分の力を使えないんだ」

更新日:2009-09-25 18:46:12