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小説

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もしも楽器が出来たなら

夜風の中、妙なる調べが聞こえてきた。
曲は「エーデルワイス」。

リコーダーというのだろうか、たぶん中学生あたりが吹いているのだろう、縦笛系の楽器である。
ところが、途中までは上手なのだが、次の音に来ると必ず「ピョオオ~」とひっくり返ってしまうのだ。
あー私も中学の時、うまく出ない音があって、よくああなったな~と懐かしく思った。

思えば、このごろ楽器という物に全く触れていない。
ウチに小さな電子ピアノがあるのだが、全く楽器としての役目を果たしておらず、猫のヌイグルミ達の長椅子と化している。

私が楽器らしき物に初めて触れたのは、小学生の時。塾で習っていたピアノだった。正確に言えば、親に「習わされていた」のだったが。2年間は真面目に習っていたが、ある日ピアノの先生が私にこう言った。

「次の曲は……葉論ちゃんには、難しいかも知れないな~」

先生が言ったその一言で、パキーンと私の中の練習意欲が壊れた。
そして、母に訴えた。

「お母さん。私、もうピアノ行かない。もう、神様がやらなくていいって言ったの」

私は、神様のせいにした。
なんでそんなこと言ったのかは覚えていないが、いい子ちゃんだった私の精一杯の反抗だったのかも知れない。もともと、進んでやりたい訳じゃなかった。親の勧めだったから、なんとなく、やってみた、だけ。でも才能がある訳でもなし、たいして上達もしなかった。それなりに楽しいと思ったこともあったけど。

実は、大人になってから、もう一度楽譜を買って、ピアノを弾こうとしたことがある。でも、結局また挫折した。本当に私の根性は豆腐のようだ。我ながらあきれる。

でも、楽器を使い音楽を奏でることは、なんと素晴らしいことなのだろうと思う。
私は音楽が大好きで、もっぱら聞くだけなのだが、音楽の無い生活なんて考えられない。好きな音楽を聴いている時は本当に幸せだ。
人を幸せにしてくれる、「音楽を演奏出来る」という技術のある人って、尊敬してしまう。
そして、心底、うらやましいと思う。思い通り、自在に楽器が出来たなら。どんなに楽しく幸せなことかと思う。

物事を成功させる為の、努力と才能の割合はどのくらいだろう。

更新日:2009-09-30 23:52:57