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 正雄がキョトンとした顔になったので、ジアップはさらに大きな口をあけて笑った。チャンチマも微笑んでいる。

「ほんとー?冗談じゃないの?」

 正雄の言い方が面白かったのか、幸子も蓮根も笑い出した。

「ところで、今日は水曜日だったよね」

正雄は、スープをご飯にかけ、少し混ぜながら食べた。

「そうですよ。水曜日に何かあるんですか?」

 幸子が笑顔のまま聞いた。

「かなり前なんだけど、キャンプでディック牧師と言う人と知り合ってね。水曜日の夜に、アランのワイアム事務所で礼拝をしているって、教えてくれたんだ。今日は、食事の後にやらなければならない仕事も無いし、いつもより少し早い夕食だから、礼拝に行ってみようと思ったんだ。もし良かったら、誰か一緒に行かないか」

「私、一緒に行ってもいいですか」

 すぐに返事をしたのは、幸子だ。

「夜は一人が好きなサッチャンが出かけるの?・・・珍しいね。
僕は宗教とは直接にかかわりたくありませんから、やめておきます」と蓮根 。

「私たちタイ人は仏教徒だから、興味無いわ。ね、チャンチマ」

「私は、以前に友達に誘われて、一回だけ行った事があるわ。でも、あまり面白くはなかったわね。もちろんマサにとっては、大切な集まりになるかもしれないから、とにかく一度は行ってみると良いわよ。今夜、私達はゆっくり過ごしたいから、遠慮しとくわね」

「そんな、みんな申し訳なさそうな顔しないで。軽い気持ちで誘っただけで、なにもみんなをクリスチャンにしようとか、思ってないから。ただ、初めて行く所だから、誰かが一緒なら心強いと思って誘ったんだよ。サッチャンだけでも一緒だから嬉しいよ」

「私だけでもって、それ、どういう意味ですか」

更新日:2011-08-06 17:00:33

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