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第3話

 コーヒーショップを少しゆっくり出た美保は、ゆっくりとケータイを最初にいた場所で開いた。どうやら、案の定実験に引っ張り出されたようだ。今からメールに書いてあるように、定禅寺通りに向かう。確か今日は夜に雨が降り出すとか何とか言っていたけど、どんな実験をするために街に下りてきたのだろう?そういえば今日浴衣で来れば良かったかな。不意に人込みの中でそんな思考をめぐらせる。
 やはり少し国分町のほうに来ると少し人が減る。やはり七夕飾りは反対側のアーケードが主役だからであるからか。疎らに七夕飾りがあるがそれほどの華やかさはない。ただし、少しずつ雲が暗くなってきているのは感じた。土砂降りにはならないだろうが、もう少しで降りそうだ。少し歩くスピードを美保は早めた。


 もう作業は終わった。あとは、18時にあれが見られるように準備をするだけ。現在の時間は17時50分。予定通り雨がもうすぐ降り出すだろう。
「美保、間に合ってくれれば良いなあ。」
 そう呟くと、雨がぽつぽつと降り出し始めた。すると先生が、
「それでは始めてくれ、綺麗な実験にしてくれよ。」
 すると、焼却炉のような形の機械からゆっくりと煙が立ち込めていく。あと10分であの光景が見られるのだろう、そのとき彼女がいたら良いんだけどなあ。

更新日:2009-07-23 23:24:30

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