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20 断れないというのは…
その代わり、
セイはこういった。
「…そーさん、
前から一度聞こうと思ってたんだけど…
そーさんは…なんでオレのこと引き受けたの?
そーさんは…断れないタイプの人じゃないでしょ?」
…これは、いつか聞かれるかもしれないと思っていた。
「…なんか腹がたったんだよね。」
「何に?」
「うん…みんなが勝手でさ。」
「…オレが勝手だとは
おもわなかったの?」
「…きみはみんなの都合に
翻弄されたほうだろ。」
「…オレがいい子なら
そもそも家から出されたり
いろんな家庭で押しつけ合戦になったり
しなかったかもよ?」
私は微笑した。
「…じゃあ、
セイは今、特別いい子にしているんだ?」
「…そうなんじゃない?
…美園おばさんには、何もいわれなかったの?」
「…あんたも引きこもりみたいなもんだし、
きっと気が合うんじゃない、だって。」
セイはそれをきくと、おかしそうに笑った。
「美園おばさんて傑作だよね。
オレあの人は嫌いじゃないよ。
…気の毒なひとだけどね。
…そーさんホントは、
美園おばさんがかわいそうだから
美園おばさんのために
オレをひきとったんでしょ?」
「…まあ、それもなくはない。
あそこ、新婚だから。
…セイだって、新婚家庭はいづらいだろう?
私でもいやだよ、
布団に入ったらいろいろ考えちゃうじゃないか。」
「…」
セイは黙って笑った。
「…気の毒な人って、
姉のこと、どうしてそう思うの?」
私が尋ねると、セイは言った。
「…なんでかな。
でも、愛されたくて必死って感じで。」
…愛されたくて必死。
…美園は確かに、その一言に尽きた。
セイにこんなふうに思われていると知ったら
きっと美園はショックだろうけど…、と思った。
「…心配しないで、そーさん。
オレはそーさんが好きだから、
これからも
ちゃんといいこにするよ。
…だからキスぐらいでそんなに照れないでね。」
セイが最後に付け加えたその一言に、
私はコーヒーを噴いた。
セイはこういった。
「…そーさん、
前から一度聞こうと思ってたんだけど…
そーさんは…なんでオレのこと引き受けたの?
そーさんは…断れないタイプの人じゃないでしょ?」
…これは、いつか聞かれるかもしれないと思っていた。
「…なんか腹がたったんだよね。」
「何に?」
「うん…みんなが勝手でさ。」
「…オレが勝手だとは
おもわなかったの?」
「…きみはみんなの都合に
翻弄されたほうだろ。」
「…オレがいい子なら
そもそも家から出されたり
いろんな家庭で押しつけ合戦になったり
しなかったかもよ?」
私は微笑した。
「…じゃあ、
セイは今、特別いい子にしているんだ?」
「…そうなんじゃない?
…美園おばさんには、何もいわれなかったの?」
「…あんたも引きこもりみたいなもんだし、
きっと気が合うんじゃない、だって。」
セイはそれをきくと、おかしそうに笑った。
「美園おばさんて傑作だよね。
オレあの人は嫌いじゃないよ。
…気の毒なひとだけどね。
…そーさんホントは、
美園おばさんがかわいそうだから
美園おばさんのために
オレをひきとったんでしょ?」
「…まあ、それもなくはない。
あそこ、新婚だから。
…セイだって、新婚家庭はいづらいだろう?
私でもいやだよ、
布団に入ったらいろいろ考えちゃうじゃないか。」
「…」
セイは黙って笑った。
「…気の毒な人って、
姉のこと、どうしてそう思うの?」
私が尋ねると、セイは言った。
「…なんでかな。
でも、愛されたくて必死って感じで。」
…愛されたくて必死。
…美園は確かに、その一言に尽きた。
セイにこんなふうに思われていると知ったら
きっと美園はショックだろうけど…、と思った。
「…心配しないで、そーさん。
オレはそーさんが好きだから、
これからも
ちゃんといいこにするよ。
…だからキスぐらいでそんなに照れないでね。」
セイが最後に付け加えたその一言に、
私はコーヒーを噴いた。
更新日:2009-08-02 13:04:23