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ほどなく西川から連絡があって、
話が決まったことをしらされた。
入れ替わりに
西川の友達から電話があって
くどいほど礼を言われた。

言われた日当が
高いのか安いのか
私に相場はわからなかったが、
東京までの足代が出て食事つき温泉つきと考えれば
破格のアルバイトであった。

セイに言うと、セイは
「テレビに出るの?!」
とびっくりして、
そののちに
とても興奮して応援してくれた。

前回のように留守番を誓い、
「心配しないで。
今度こそきっちりやるから!」
と請け合った。

…別にセイのほうが会いたいのであれば、
私の留守に
父親をよぼうが母親をよぼうが、
なんならちゃっかりものの一哉をよぼうが、
私のほうはなんらかまわないのだが、

(一哉には空き巣されそうな気もするが、
うちには盗むようなものもない。
しいていえば地デジチューナーくらいだ。)

あんなふうにおしかけられて
セイが病的な様子になり
私に平謝りして泣くようでは、
すすめるわけにはいかなかった。


「…無理をしないで、
嫌なことはきちんと断って、
自分のことを第一に考えてね、セイ。」


私はそれだけ念をおし、
何かあったら電話していいんだからね、
と言った。


セイは一つ一つ、
自分にしみ込ませるような顔で
私を見つめてうなづいた。


セイを信じて稼ぎに行くからね、
と私が言うと、
セイはひときわ深くうなづいた。


なんでこんな可愛い子が、
親戚をたらい回しにされたりするのだろう…。

私はそう思い、せつなかった。

更新日:2009-09-28 14:45:41

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