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3階の
滑走路が見える店で食事した。
北海道に帰ってきたらあまりに涼しくて、
私はすっかり秋の食欲に立ち返っていた。
セイは私の食欲にびっくりした様子だった。
「…今日、ごはん食べてないの?
そーさん…」
「朝は食べたよ。」
…西川が駅の近くの
モーニングセットのある喫茶店へ
連れて行ってくれた。
寝ぼけた顔で二人で食べた。
ゆで卵とか、久しぶりに口にした。
もきゅっと食べてたら西川になぜか
「センセイなんか食べ方エロい」と笑われた…
…のはどうでもいい。
「…北海道は食べ物が美味いというけど、
違うな。
空気のせいだよ、この食欲は。」
「…なんかそーさんみてたら
オレもはらへってきたかも。」
「あー、なんでもたべなさい。
そーさんは今仕事がきまって
とっても羽振りがいいんだ!
そーさんがおごってあげますよ。
食後のパフェもどうぞ!」
「なにいってんの、まだ1円も入ってないくせに…」
「へへへー、でもね、滞在費はたくさんあまったよ。
あっちでいろんな人がおごってくれたんだ♪」
「あっ、そうなの。じゃおごってもらおうかな。」
セイはスープカレーを注文して、
一緒に食べた。
みるみる元気と明るさを取り戻したセイをみて、
私はほっとした。
食事を終えると、
セイはソフトクリームが食べたいから
下の階へ行こうと言い出して、
店を出た。
セイはなぜか空港内のソフトクリーム屋の場所を
ちゃんと把握していた。
二人で座ってソフトクリームを食べた。
「…お母さん、どうしたの?」
私が静かにたずねると、
セイはバキっとコーンを噛み砕いた。
「…ん、親父とケンカしたらしい。
別に、ケンカはいつもなんだ。
…おじさんに聞いて、そーさんの家の場所、
勝手に調べたみたい。
最初、そーさんと話したいとか電話で言ってきたんだ。
うっかり、しばらくいないって言ったら
勝手にのりこんできちゃって…。
御免ね、そーさんの家なのに…。」
「…何日目?」
「3日目。」
「…限界って顔になってたけど、さっき。
大丈夫?セイ。」
そう言うと、
セイは残りのコーンを全部ばりばり食べて、
残った紙を握りつぶした。
「…べつに。あれでもオレの母親だしね。
オレは慣れてるから。
でもそーさんの家にのりこんでこられて、
すっごく閉口してる。
お袋の飯、食うのいやだし。
すごくおいしくないんだもん…。
それにお袋が台所にたつと
いつもきれいなそーさんの台所がどんどん汚くなって…」
…うわ、と思った。
「…3日もいるならそろそろ帰り時だ。
おひきとり願うよ。
申し訳ないけど、
たとえ君の母親が、暴力から逃げてきているのであっても、
私は保護しない。
行政のシェルターにでも行ってもらうまでだよ。」
「…親父もそろそろ折れるんじゃない。
うちの親父はどうせ一人じゃ飯はおろか
上着をハンガーにかけることもできない人だから。
いずれにしろそーさんには何の義務もないよ。
ホントに申し訳ない。」
「…セイには責任はない。」
「…ん、でもオレの母親だし。
入れちゃったのも追い返せなかったのも
オレだから。」
「…気にしなくていいよ。」
私もアイスクリームコーンを
音を立てて噛み砕いた。
滑走路が見える店で食事した。
北海道に帰ってきたらあまりに涼しくて、
私はすっかり秋の食欲に立ち返っていた。
セイは私の食欲にびっくりした様子だった。
「…今日、ごはん食べてないの?
そーさん…」
「朝は食べたよ。」
…西川が駅の近くの
モーニングセットのある喫茶店へ
連れて行ってくれた。
寝ぼけた顔で二人で食べた。
ゆで卵とか、久しぶりに口にした。
もきゅっと食べてたら西川になぜか
「センセイなんか食べ方エロい」と笑われた…
…のはどうでもいい。
「…北海道は食べ物が美味いというけど、
違うな。
空気のせいだよ、この食欲は。」
「…なんかそーさんみてたら
オレもはらへってきたかも。」
「あー、なんでもたべなさい。
そーさんは今仕事がきまって
とっても羽振りがいいんだ!
そーさんがおごってあげますよ。
食後のパフェもどうぞ!」
「なにいってんの、まだ1円も入ってないくせに…」
「へへへー、でもね、滞在費はたくさんあまったよ。
あっちでいろんな人がおごってくれたんだ♪」
「あっ、そうなの。じゃおごってもらおうかな。」
セイはスープカレーを注文して、
一緒に食べた。
みるみる元気と明るさを取り戻したセイをみて、
私はほっとした。
食事を終えると、
セイはソフトクリームが食べたいから
下の階へ行こうと言い出して、
店を出た。
セイはなぜか空港内のソフトクリーム屋の場所を
ちゃんと把握していた。
二人で座ってソフトクリームを食べた。
「…お母さん、どうしたの?」
私が静かにたずねると、
セイはバキっとコーンを噛み砕いた。
「…ん、親父とケンカしたらしい。
別に、ケンカはいつもなんだ。
…おじさんに聞いて、そーさんの家の場所、
勝手に調べたみたい。
最初、そーさんと話したいとか電話で言ってきたんだ。
うっかり、しばらくいないって言ったら
勝手にのりこんできちゃって…。
御免ね、そーさんの家なのに…。」
「…何日目?」
「3日目。」
「…限界って顔になってたけど、さっき。
大丈夫?セイ。」
そう言うと、
セイは残りのコーンを全部ばりばり食べて、
残った紙を握りつぶした。
「…べつに。あれでもオレの母親だしね。
オレは慣れてるから。
でもそーさんの家にのりこんでこられて、
すっごく閉口してる。
お袋の飯、食うのいやだし。
すごくおいしくないんだもん…。
それにお袋が台所にたつと
いつもきれいなそーさんの台所がどんどん汚くなって…」
…うわ、と思った。
「…3日もいるならそろそろ帰り時だ。
おひきとり願うよ。
申し訳ないけど、
たとえ君の母親が、暴力から逃げてきているのであっても、
私は保護しない。
行政のシェルターにでも行ってもらうまでだよ。」
「…親父もそろそろ折れるんじゃない。
うちの親父はどうせ一人じゃ飯はおろか
上着をハンガーにかけることもできない人だから。
いずれにしろそーさんには何の義務もないよ。
ホントに申し訳ない。」
「…セイには責任はない。」
「…ん、でもオレの母親だし。
入れちゃったのも追い返せなかったのも
オレだから。」
「…気にしなくていいよ。」
私もアイスクリームコーンを
音を立てて噛み砕いた。
更新日:2009-09-28 14:00:40