- 29 / 218 ページ
帰りの飛行機の前日に、
栗原に会って原稿を渡した。
栗原は西川とちがって多忙な様子だったが
ふとしたことで、
都筑の知り合いであることがわかった。
せっかく出て来たので会いたいのだが、
連絡がとれないと軽くぼやくと
栗原は軽い調子で「はいはいそうでしたか」と言って
都筑に電話をかけてくれた。
栗原が席をたって20分後、
カフェの同じ席で都筑と再会した。
「…相変わらず自分勝手だね。
俺けっこう忙しいんだけど。
…元気そうじゃない。」
一言目から石つぶてだったが、
私は気づかないふりで笑った。
「おかげさまで。」
「仕事してる?」
「してなかったら、同居してる親戚の子に
東京行って仕事貰ってこいって言われて。」
「…うちの連中にそれとなく言っといてやるよ。
そろそろ何か書き始めても良さそうな時期だからね、あんたも。
このまま消えるのは勿体ないだろ、
せっかく名前売ったのに。
どうせ他にできることもないんだろうしね。
…ああ、コーヒーと灰皿。」
やってきたウェイトレスに
コーヒーを言いつけ、
都筑はタバコを出して火をつけた。
「…お客様、禁煙でございます。」
「…ウェッジウッドのソーサーに灰おとされてぇのか。
とっとと持ってこい。」
若いウェイトレスがカッとなった。
私はちらっと彼女をみあげてから、
懐から吸い殻入れを出して都筑に渡した。
「…都筑さんて、相変わらずですね。
…タバコ吸うとコーヒーの味わからなくなるでしょ。
カフェでは迷惑も甚だしいんです。
吸い殻の始末だって、吸ってない人はイヤなんですよ?
いい加減禁煙すればいいのに。
体によくないですよ。」
「何言ってる。ドトールもミスドも
いい席はかならず喫煙席なんだせ。」
「それは他社との差別化でしょ。
チェーン店と一件もののカフェ一緒にするのはよくない。
…それより都筑さんてミスタードーナッツなんか行くの?」
私は阿ねるようにそう言って、
ウェイトレスを手でさりげなく追い払った。
ウェイトレスは憮然として立ち去った。
栗原に会って原稿を渡した。
栗原は西川とちがって多忙な様子だったが
ふとしたことで、
都筑の知り合いであることがわかった。
せっかく出て来たので会いたいのだが、
連絡がとれないと軽くぼやくと
栗原は軽い調子で「はいはいそうでしたか」と言って
都筑に電話をかけてくれた。
栗原が席をたって20分後、
カフェの同じ席で都筑と再会した。
「…相変わらず自分勝手だね。
俺けっこう忙しいんだけど。
…元気そうじゃない。」
一言目から石つぶてだったが、
私は気づかないふりで笑った。
「おかげさまで。」
「仕事してる?」
「してなかったら、同居してる親戚の子に
東京行って仕事貰ってこいって言われて。」
「…うちの連中にそれとなく言っといてやるよ。
そろそろ何か書き始めても良さそうな時期だからね、あんたも。
このまま消えるのは勿体ないだろ、
せっかく名前売ったのに。
どうせ他にできることもないんだろうしね。
…ああ、コーヒーと灰皿。」
やってきたウェイトレスに
コーヒーを言いつけ、
都筑はタバコを出して火をつけた。
「…お客様、禁煙でございます。」
「…ウェッジウッドのソーサーに灰おとされてぇのか。
とっとと持ってこい。」
若いウェイトレスがカッとなった。
私はちらっと彼女をみあげてから、
懐から吸い殻入れを出して都筑に渡した。
「…都筑さんて、相変わらずですね。
…タバコ吸うとコーヒーの味わからなくなるでしょ。
カフェでは迷惑も甚だしいんです。
吸い殻の始末だって、吸ってない人はイヤなんですよ?
いい加減禁煙すればいいのに。
体によくないですよ。」
「何言ってる。ドトールもミスドも
いい席はかならず喫煙席なんだせ。」
「それは他社との差別化でしょ。
チェーン店と一件もののカフェ一緒にするのはよくない。
…それより都筑さんてミスタードーナッツなんか行くの?」
私は阿ねるようにそう言って、
ウェイトレスを手でさりげなく追い払った。
ウェイトレスは憮然として立ち去った。
更新日:2009-07-25 09:04:06