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6 その未確認生物に
世の中の流れはどうしようもないもので、
ついに観念して、
我が家も地デジ対応処置を施すことにした。
といってもテレビなんか買うのは高くて怖いから
(次の本が出てからでないと
収入のあてがない)
チューナーを設置して終わろうという魂胆だ。
馴染みの電気屋にきてもらって
あれこれやってもらい、
その場でお金を払った。
「…先生んちいつもぴかぴかにキレイですよね。
テレビって汚れやすいんで、
こんなにコード一本一本までぴかぴかにきれいだと
びっくりしますよ。」
「あーうん、趣味なんですよ掃除。あはっ。」
「じゃ、またなんかありましたら
呼んでください。
まいどっ。」
「ありがとうございました。」
電気屋を送り出した。
…これでいつ地デジになっても大丈夫だ。
そう満足して、テレビの辺りをしばらく見ていると、
ふと、先日、
湿原の湖園で、セイが、
ここの裏によく
オッサンのコビトがいる、
と言っていたことが思い出された。
…私はやはりそのときも、
それを冗談だと思っていたのだが、
ただ、心のどこかで、
もし本当だったら是非見てみたい、という
強い好奇心を感じていたのも事実だった。
私はなんとなく、テレビに歩み寄り、
そーっと裏を覗き込んでみた。
…
…
…勿論、コードが
いつもよりは幾分整理されてからまっているだけで、
西川のようなものはいなかった。
「…いた?」
後ろから突然ひそひそっとセイに言われて、
私は口から心臓が飛び出るかと思うほど驚いた。
「わっ、びっくりした!」
「…いた?」
私は首を左右に振った。
セイはため息をついた。
「…よかった。」
「…どうして。」
「…だって…
すげーキンチョーするもん…
怖いよ。いたら。」
「…なんで怖いの?
…襲いかかってくる?」
「…おそいかかっては来ないけど、
…すっごいキンチョーすんの。
とにかく、怖い。
なんか、へんな…宇宙人とかに会っちゃった感じ。」
「宇宙人ね…なるほど…」
「…お菓子たべようよ、そーさん。」
「うん。
テレビ見てみてごらんよ、
すっごくキレイにうつるようになったよ。」
「じゃ、つけて。
オレ、おやつもってくる。」
セイはぱたぱたとスリッパで走っていった。
ついに観念して、
我が家も地デジ対応処置を施すことにした。
といってもテレビなんか買うのは高くて怖いから
(次の本が出てからでないと
収入のあてがない)
チューナーを設置して終わろうという魂胆だ。
馴染みの電気屋にきてもらって
あれこれやってもらい、
その場でお金を払った。
「…先生んちいつもぴかぴかにキレイですよね。
テレビって汚れやすいんで、
こんなにコード一本一本までぴかぴかにきれいだと
びっくりしますよ。」
「あーうん、趣味なんですよ掃除。あはっ。」
「じゃ、またなんかありましたら
呼んでください。
まいどっ。」
「ありがとうございました。」
電気屋を送り出した。
…これでいつ地デジになっても大丈夫だ。
そう満足して、テレビの辺りをしばらく見ていると、
ふと、先日、
湿原の湖園で、セイが、
ここの裏によく
オッサンのコビトがいる、
と言っていたことが思い出された。
…私はやはりそのときも、
それを冗談だと思っていたのだが、
ただ、心のどこかで、
もし本当だったら是非見てみたい、という
強い好奇心を感じていたのも事実だった。
私はなんとなく、テレビに歩み寄り、
そーっと裏を覗き込んでみた。
…
…
…勿論、コードが
いつもよりは幾分整理されてからまっているだけで、
西川のようなものはいなかった。
「…いた?」
後ろから突然ひそひそっとセイに言われて、
私は口から心臓が飛び出るかと思うほど驚いた。
「わっ、びっくりした!」
「…いた?」
私は首を左右に振った。
セイはため息をついた。
「…よかった。」
「…どうして。」
「…だって…
すげーキンチョーするもん…
怖いよ。いたら。」
「…なんで怖いの?
…襲いかかってくる?」
「…おそいかかっては来ないけど、
…すっごいキンチョーすんの。
とにかく、怖い。
なんか、へんな…宇宙人とかに会っちゃった感じ。」
「宇宙人ね…なるほど…」
「…お菓子たべようよ、そーさん。」
「うん。
テレビ見てみてごらんよ、
すっごくキレイにうつるようになったよ。」
「じゃ、つけて。
オレ、おやつもってくる。」
セイはぱたぱたとスリッパで走っていった。
更新日:2009-07-23 18:33:14