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借りた団扇で虫を追い払いながら
湿原の庭園を沼に沿ってゆっくりと一回りした。

水辺なだけでなく
木陰であることもあり
ひととき暑さを忘れることが出来た。

セイは暑がりの私でもくつろげるところを
近場のなかから念入りに選んでくれたのだ。

私はそう察して
なにやら照れくさく
かつ嬉しい心地がした。


「涼しくてよかったでしょ、
そーさん。」


「うん、とてもいいね。
すごく気に入ったよ。
すぐにまた来たいくらいだ。
今度は車で来ようか。」


「…運転できるの?
車があるっていうのは
薄々気づいてはいたけど。」


「失敬な。ちゃんと免許もあるよ。」


「…最後はいつ運転したの?」


「去年の秋だけど…大丈夫だよ。運転ぐらい。」


「…お昼にしようか。」


建物に戻って、二人で向かい合い、
ジンギスカンを食べた。
マトンの肉で、タレが美味かった。


更新日:2009-09-28 12:42:50

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