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「うん…頭痛・関節痛・筋肉痛はします。」


「あ、そりゃいけませんな。
…セイタロくん、薬箱どこにあるかわかる?
頭痛薬さがしてきて。」


セイが大人しく出て行くと、
西川は言った。


「…セイタロくん、お母さんに電話して
看病はどうすればいいか聞いたら、
お母さん、最初から自分がここへ来ると一点張りで、
なんもおしえてくれないそうです。

…説明するのがめんどくさかったんでしょうな。
来ればついでに息子の顔もみられるし。

…自分のキモチがどばーっと前面に来てしまったのでしょうな。

お父さんに叱られるのは自分だからと言って
何とか断るのがやっとだったみたいで。」


…あの電話は、そういうことだったらしい。


「…ところが
そんならということで
私が電話でいろいろ
ああしてこうしてと指示言いましたら
だんだん混乱したみたいで。
なんやかんや話した末、結局
じゃあ行く、ということになってしまいました。
…まあ、お母さんの気持ちもわからんでもない。」


「…すみません…」


私は恐縮した。


「いや、別にいいです、
どうせ時間があるならまた
少しつきあってもらおうかと思っての電話でしたから…」


「あの…もしよかったら
寿司とるので食べてゆかれませんか…
セイにもここ3日まともに食わせてないので…」


セイがもどってきた。


「正露丸と太田胃散と龍角散しかないよ。あと絆創膏とマキロン。」


「あちゃー、そりゃいかん。
…買ってきましょう。」


「…バファリンとかでいいの?
ノーシンとか?
近くの薬屋で買ってくるよ。まだ開いてる。
ついでにお弁当かってくるし。

…西川さんも食べる?
お弁当。」


「…セイ、お弁当じゃなく、
今日おすしとって西川さんと食べて。」


「あ、うん、わかった。
じゃ、電話していくから、はやく届いたら
西川さん受け取ってくれる?」


「いいよ。」


セイは部屋を出た。


「…いい子じゃないですか、タメ口ですけど。
フットワーク軽いなあ。
職場で重宝されますよ。」


「…すみません…タメ口で…
そういうこと、私は無頓着なので、
直したことが無かった…。

…失礼ですよね、すみません…。」


私が恐縮すると、西川は笑った。


「セイタロくんは、
先生のこと、
好きなんですね。」


「…なついてくれてます。」


「…横になられたほうが良いですよ。」


私はうなづいた。



更新日:2009-07-22 13:33:13

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