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男は、泥まみれのフードの奥で笑っていた。
「やはり恐ろしいな。古の術――影人の術というのは」
目の前に現れたあの『蛇』は、一瞬で全てを飲み込んでいった。これほどの量の土の中から一枚の板切れを探すなど、あまりに非現実的なのは、誰の目にも明らかだった。
ふぅ、と息を吐くと、男は指をパチンと鳴らした。

気付けば彼の姿はどこにもなく、木々の間をすり抜ける風がざわざわと鳴るのみだった。

更新日:2011-01-04 23:35:22

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