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「うわっ」
リンネルは倒木の隙間に足を取られて体勢を崩した。
ルニ山を登り始めて3時間、そろそろ足も疲れてくる。
この辺りの登山道はろくに整備されていないから、登るのも一苦労だ。ところどころ、けもの道と見わけがつかなくなっているから、迷ってしまってもおかしくない。地元の人も普段はそう登ったりするものでもないし、観光客が来るような土地でもないから使われることもあまり無いのだろう。

こんな所を歩いていて足を滑らせて谷に落ちたりしたらたまらない。そろそろ休もう。

少し開けた場所に出て、リンネルは腰を下ろす。上は木々の枝も途切れて晴天が広がっている。
「嫌な空だ」
一見澄み渡った空を見て、リンネルはつぶやいた。
薄く空にかかる、かすれたような、できそこないの雲。経験上、山でこんな雲が出る時はよく雨が降るのだ。
「早めに調査を切り上げて宿に帰った方が良いかもな」
リンネルは立ち上がると、目的地に向かって歩き始めた。

更新日:2010-04-30 12:51:34

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