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気がつけばもう夕方だった。

村の老人の何人かに英雄譚について話を聞いたが、どの話も似たりよったりで、目新しい物はない。
旅人がふらりと村にやってきて、村を襲っていた何百、何千という軍勢を一人で倒したという、一言でまとめればそれだけの話。

蛇飲みの童謡も、その伝説を由来にするという。恐らく、その旅人が蛇を呼び出し、悪党を一呑みにさせたのだろう。

帰り道、リンネルは聞いた話をまとめながら考える。
どこからか、子供たちの唄う蛇飲みの歌が聞こえてきた。
『しろいたびびとひざをつき~♪』
『くろてつささげていのられば♪』

――旅人が蛇を呼び出した英雄なら、その捧げた『黒鉄』とは?

リンネルが鞄の底に手を当てると、エスタリア刀のずしりとした重みが伝わってきた。

更新日:2009-08-27 15:48:12

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