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3-3/公園で


 日曜日。
 嗚呼、なんと素敵なイントネーションだろう。俺はこの言葉を聞くだけで幸せになれる。この幸せを、見知らぬ誰かにそっと分けて差し上げたいとさえ思えるくらいだ。
 だから、誰か一緒にこの幸せを分かち合ってくれないだろうか?
 具体的に言うと、折角の日曜日のよく晴れた午前中だと言うのにやる事も無く、暇を持て余して公園のベンチでボンヤリしているこの俺に構ってくれるヤツ、早急に駆けつけてくれ、と言う話だ。
 そういうわけで、この作品の主人公である俺様、太郎は現在、リストラされた事を家族に打ち明けられずに出勤するフリをして公園で時間を潰すサラリーマンのようなスタイルで、ただ時の流れに身を任せていた。雲がゆっくりと流れていく。太平洋気圧にすっぽり包まれた夏型気圧配置らしい。暫くは雨が降ることも無いだろう。昨日、ニュースでやってた。

「……くはぁっ……。平和だ……。」

 缶ジュースを片手に、俺はベンチの背凭れに思い切り寄り掛かり、空を見上げながらポツリと呟いた。青いのか白いのか、ちょっと眩しくてよく解らん色をした空が俺の視界を埋め尽くしていて、バックグラウンドミュージックは子供たちが元気にボールを追いかける声。
 まさに休日の公園の全てがそこに集約されているように思えた。
 これを平和と呼ばずして何と呼ぶのか。たとえ俺が年食ってヨレヨレになろうとも、日曜日ってヤツは何時までもこういう、ノンビリとした時間が流れる曜日であって欲しいと思う。
 ヴイイイイイイム。ヴイイイイイイム。

「……む。」

 俺のバディこと相棒の携帯電話が、振動を始めた。着信とメール受信では振動パターンを変えてあるので、俺はこの振動だけですぐにどちらなのかを理解する事が出来る。メールだ。いやっほう、仕方ないなぁこの忙しい時に。誰だ誰だコノヤロウめ。仕方ないからちょっと遊んでやろう、勘違いするなよ、本当は忙しいんだからな!

「…………いや、ホント誰だコレ?」

 ツンデレモードで箱を開けて見ると、アドレスは俺の知らないものであった。つまり、要するに「メアド変えました^^」のアレだと思われる。やれやれ、よくもまぁ飽きもせずコロコロとメールアドレスを変えたがるよな。……いや、飽きるから変えるのか。
 なんて下らない事を考えながら本文を見ると、そこにあったのは俺の予想を軽く裏切る不快なチェーンメールであった。
 以下、文面。

『ゴメン! 無視しようと思ったんだけど、
本当に掛かってきた人がいるって言うから回すね!

090********から電話が来る前に、このメールを5人に送ってください。
もし送らなかった場合、または自分からこの番号に電話を掛けた場合、今夜、メリーさんが迎えに来るそうです。
最近こんなイタズラメールは多いですが、このメールだけはガチヤバです。
ちゃんと回さないと…あなたの人差し指がもぎ取られます。』

更新日:2009-06-23 00:17:36

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はなこさんと/第三話「えいりあんと」