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3-9/Thank you!



 あの後。
 俺はずっと眠っていたから、結局事件がどういう風に解決したのかは解らないままだった。
 月曜日は休校だった。日曜の夜に大災害を被った大都市東京は今、都庁と東京タワーの復旧に特に力を入れている。あの戦いは、やっぱり夢じゃなかったのかと――それを認識したのは、ニュースの映像で東京タワーと都庁が、東京湾に横たわっているのを見た時だった。
 因みに都庁ロボの中に俺が乗っていた事を知っているのは、どうやらこの国のトップに位置する人間だけであるらしい。良かったような残念なような。まぁ国としては、俺みたいな平凡な人間にあんな大役を押し付けた事は、絶対に公開できないだろう。
 そういうわけで表向きには、よく訓練された自衛隊員の誰かが乗っていたと言う事になった。国家機密と言う事と、プライベート保護のためにその名前は最後まで明かされなかった。
 そして、火曜日。今日から学校は再開するらしい。一方の俺はと言うと、病院のベッドで適当にテレビのチャンネルを変えては、たまに欠伸をすると言う一定の行動を繰り返していた。

「折角月曜が休みだったのに、遊べなくて残念だわねぇ、太郎ちゃん。」
「うっせーよ。なんでお前居るんだよメリー。帰れコノヤロウ。」
「いやー、霊力使い切っちゃって当面仕事できないから、ヒマでヒマで。」
「ホントご苦労様だよこの馬鹿野郎。」
「褒めつつ貶すな!」

 全身傷だらけの俺は病院の個室で、何故かメリーと鎌井さんと一緒だった。メリーは帰れ。鎌井さんとは、今度発売するドラクエ9(ドラキュラクエスト9)について熱く語り合いたい。
 嗚呼、それにしても痛い痛い。よく頑張ったよ俺、痛みに耐えたよ、感動したかい大泉総理。

「……感銘を受けた……!」
「うわああッ!? おっ、大泉総理ッ!?」

 モノマネ中に本人降臨しちゃった時のモノマネ芸人みたいなリアクションで、思わずベッドから転がり落ちる俺。目線の先に、本物の大泉総理は威風堂々たる姿で花束を携え立っていた。

「うむ。病院では静かに。今日は件の怪我人の視察の名目で来ている。そんなことはさて置き、よくやってくれたな、太郎君。」
「ど、どうも……。」
「それに、君の仲間たちも。本当にありがとう。」

 総理は、部屋を一瞥してフッと笑う。鎌井さんとメリーは目を逸らし、口笛を吹いていた。
 視えてるんだろうか、この人にも……。
 深々と頭を下げた大泉は、あまり長居も出来ないと言って、持ってきた花束を病室のテーブルに置くとそのまま足早に立ち去っていった。忙しい人だ。内も外も。

更新日:2009-06-23 02:04:34

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はなこさんと/第三話「えいりあんと」