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お寺で見たもの…それは


 今日は寺に預けられていた頃の話をします。
 このお寺に住んでいたのは私と、祖父母の3人でしたが、
このお寺を継ぐために祖父母の息子である長男が奥さんと、
男の子を連れて戻ってきました。
私から見れば従兄弟という事になりますね。
この時、私は小学6年生だったと思います。
 男の子は3歳と、もう一人はまだ赤ん坊だった筈です。
 この子達の話は後で、もう一度出てきますが今は私の
体験談としてお読みください。

この寺は当時で築100年とか言っていました
とにかく古くて、夜なんか天井にコウモリが、ぶら下がったりします。
お寺といっても外見は普通の民家と変わりません。
ただ他所と違うのは、家までには長い一本道があり、階段があり、
城のように石を積み上げられた上に建てられていました。

大きな家でしたが3人しか住んでいない時は広く感じたものです。
私は祖父母の寝る部屋とは離れた2階の部屋を私室のように使って
いたのですが…

ある日、もちろん夜ですけど階段を上がってくる足音が聞こえました。
とにかく古い家なので、廊下を歩けば軋むような音がするし、どこかの
襖を開ければ、その音も聞こえます。
ただ、この日は遅くまでテレビを見ていたので、階下の音は
聞こえませんでした。

(遅くまで起きてるから、バアチャンが注意しに来たのかな?)と思って、
急いでテレビを消して布団に潜りました。
階段を上がって最初の襖が開かれた音が聞こえました。
そして畳の上を歩いています。
途中は6畳間が一つあるだけですから何歩もなく、私の寝ている
部屋に辿り着きます。

でもいつまで経っても私の枕もとの襖が開きません。
(どうして入ってこないんだろう?)
私はじっと襖を見つめていました。
息遣い、というか…この襖の向こう側に間違いなく誰かいる!それは
確信していました。
でも一向に襖が開く気配が無いので、電気を消して寝ることに
しました。

自分の手で襖を開けても良かったのですが、なんとなくその時は
そうしませんでした。
そして私は、その事をすっかり忘れて大人になりました。

祖父母共に亡くなり、私はある時、やはり大人になった2人の
従兄弟と再会し、積もる話を交わしていた時の事です…

「そういえば2階に寝てたときに、こんな事があって」と先程の話を
してみました。
すると、下の子の方が、やはり私同様2階で一人で寝ていたとき
(上の兄はすでに就職し、両親と祖母と4人で住んでいたのです)、
私が体験したのと、まったく同様の事が起きたそうです。

「で、どうした?やはり電気を消して布団に潜って寝た?」と言ったら、
「気になったんで襖を開けた」と言うではありませんか。
「え…それで?」
「バアチャンが立ってた。だから何で、そんな所に立ってるの?」と
聞いたそうです。
でも祖母は「何でもない」と言って下りていったんだそうです。

次の日の朝、学校に行く前に(両親はまだ共働きをしていて早くに
出ていたそう)祖母に「昨日は何しに二階に来たん?」と従兄弟が
聞いても
「知らん。行ってない」と言ったそうです。
もちろん前にも書きましたが、祖母は痴呆症の気もありませんでしたし、
異常な行動をするような人ではありません。
お寺と農家の仕事を切り盛りする、しっかりした人でした。

やはり近所の子供達が時々見ると言う霊は存在していたのでしょうか?
私が、もし襖を開けていたら、そこには誰がいたのでしょう…

 世の中、不思議なことが多すぎます。

更新日:2009-06-29 15:33:15

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