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ラジオ局のバイト
それは私が某ラジオ局でバイトしていた時に起きました。
千葉では有名なラジオ局です。随分前の話しではありますが、
スタッフの方達など仮名にしているのは今も現役で働いてらっしゃる
方が多いからです。
ラジオ局のバイトというと聞こえはいいですが、単なる雑用です。
録音機材やアンプを運んだり、撤去したりが主な仕事の内容です。
週末や祭日はイヴェントで遠くへ出ることも多いので、朝から
忙しくなります。
この日もイヴェントの仕事を終えて皆、帰る準備をしていました。
「おい、前島(私の名です)、お疲れさん。今日の仕事は終わりだな。
どうだ?この後、もう一つ夜の仕事があるんだが出ないか?時給も弾むぞ」
「え!本当ですか?」
私は当時大学2年生で、流行りのロックバンドを結成しギターを受け
持っていました。
ギターは高校の頃から弾いていたのですが、一度も買い換えずずっと
初心者用の安物ギターでした。
(そろそろ買い換えたいな~)
先週、楽器屋に寄ってみたら真っ黒なストラト・キャスターが
並んでいて私の目を惹きました。
しばらく立ったまま見ていると店員さんが来て、目の前で弾いて
くれたんです。
それはもう、素晴らしい音色でした。
闇を切り裂くような鋭い音がしたかと思えば、次には心も溶かすような
甘い音…まさにノックダウンとはこの事です。
私は価格を目に焼き付けて、絶対に買うぞと心に誓って帰宅しました。
でも週に1、2度バイトをしているとはいえ、16万8千円という
値段は有り金のすべてを、かき集めてもまだ足りません。
(急がないと売れ切れてしまう…)
そこへ、この話しです。まさに神様に願いが届いたという事でしょうか。
「出ます!出ます!絶対出ます」
「そうか。じゃあ、これに細かいことを書いてあるから、一旦、家に帰って
シャワーでも浴びて着替えて来い」
そう言われたんです。
「着替えて、ですか?」
「いや、別にそのままでも構わないんだが、初夏とはいえ夜は冷えるぞ。
薄くてもいいから1枚多めに着てきた方がいいぞ」
この時の私の格好は、半そでのTシャツとデニムのジーンズ。
「分かりました」
私は時間と待ち合わせの場所が書かれたメモを貰って、言われたとおり一旦
帰宅しました。
「19時にOO駅前に集合。行き先はXX寺。録音機材の搬入、セッティング
が済んだ後、夜食。弁当と飲み物が支給される。解散予定時刻は深夜の2時か
…帰り着くのは3時くらいだと思ってた方がいいかな…明日の講義は午後から
だしラッキーだったな」
親と同居している手前、あまり遅刻などはしたくない。
もう一度メモを見て確認する。
集合場所の駅から寺までは1時間以上掛かる。辺鄙(へんぴ)な場所で、
周りにはコンビニなどは無く、田んぼと畑と…後は墓ばかりだ。
他県の人は千葉というと東京にも近く都会的なイメージもあるかもしれないが、
実はそうでもない。
確かに山は無い。なんでも日本で一番山が無い県だそうだ。それはともかく
一歩人里を離れると、これが千葉なの?と驚くような場所が少なくない。
以前、夜中に友人と行き先も決めずドライブをしていたら一瞬、自分が
とんでもない場所に来てしまったんじゃないかと錯覚した。
延々と街灯の無い道路、トンネルのように生い茂る木々、行けども行けども
人の気配がしなかった。
行き先のメモを見たとき、ふとあの時の記憶が蘇った。
「夜のお寺で何をするんだろう?まさかバンドを呼んで生ライブ、なんて
訳ないか…」
確かに京都や奈良などで大物アーティストがライブを開催したりするのが
最近の流行りだっりする。
「特に持っていく物も無さそうだし、練習中の曲でも弾きながら時間を
潰すか…」
私は練習に熱中するあまりシャワーに入るのも忘れ、昼間と同じ格好のまま
集合場所に向かいました。
もしかしたら、この後に起きた恐ろしい出来事は、いいつけを守らなかった
からなのでしょうか…
お寺で起きた恐ろしいこと…それは私を含め全員が体験した事なのです。
千葉では有名なラジオ局です。随分前の話しではありますが、
スタッフの方達など仮名にしているのは今も現役で働いてらっしゃる
方が多いからです。
ラジオ局のバイトというと聞こえはいいですが、単なる雑用です。
録音機材やアンプを運んだり、撤去したりが主な仕事の内容です。
週末や祭日はイヴェントで遠くへ出ることも多いので、朝から
忙しくなります。
この日もイヴェントの仕事を終えて皆、帰る準備をしていました。
「おい、前島(私の名です)、お疲れさん。今日の仕事は終わりだな。
どうだ?この後、もう一つ夜の仕事があるんだが出ないか?時給も弾むぞ」
「え!本当ですか?」
私は当時大学2年生で、流行りのロックバンドを結成しギターを受け
持っていました。
ギターは高校の頃から弾いていたのですが、一度も買い換えずずっと
初心者用の安物ギターでした。
(そろそろ買い換えたいな~)
先週、楽器屋に寄ってみたら真っ黒なストラト・キャスターが
並んでいて私の目を惹きました。
しばらく立ったまま見ていると店員さんが来て、目の前で弾いて
くれたんです。
それはもう、素晴らしい音色でした。
闇を切り裂くような鋭い音がしたかと思えば、次には心も溶かすような
甘い音…まさにノックダウンとはこの事です。
私は価格を目に焼き付けて、絶対に買うぞと心に誓って帰宅しました。
でも週に1、2度バイトをしているとはいえ、16万8千円という
値段は有り金のすべてを、かき集めてもまだ足りません。
(急がないと売れ切れてしまう…)
そこへ、この話しです。まさに神様に願いが届いたという事でしょうか。
「出ます!出ます!絶対出ます」
「そうか。じゃあ、これに細かいことを書いてあるから、一旦、家に帰って
シャワーでも浴びて着替えて来い」
そう言われたんです。
「着替えて、ですか?」
「いや、別にそのままでも構わないんだが、初夏とはいえ夜は冷えるぞ。
薄くてもいいから1枚多めに着てきた方がいいぞ」
この時の私の格好は、半そでのTシャツとデニムのジーンズ。
「分かりました」
私は時間と待ち合わせの場所が書かれたメモを貰って、言われたとおり一旦
帰宅しました。
「19時にOO駅前に集合。行き先はXX寺。録音機材の搬入、セッティング
が済んだ後、夜食。弁当と飲み物が支給される。解散予定時刻は深夜の2時か
…帰り着くのは3時くらいだと思ってた方がいいかな…明日の講義は午後から
だしラッキーだったな」
親と同居している手前、あまり遅刻などはしたくない。
もう一度メモを見て確認する。
集合場所の駅から寺までは1時間以上掛かる。辺鄙(へんぴ)な場所で、
周りにはコンビニなどは無く、田んぼと畑と…後は墓ばかりだ。
他県の人は千葉というと東京にも近く都会的なイメージもあるかもしれないが、
実はそうでもない。
確かに山は無い。なんでも日本で一番山が無い県だそうだ。それはともかく
一歩人里を離れると、これが千葉なの?と驚くような場所が少なくない。
以前、夜中に友人と行き先も決めずドライブをしていたら一瞬、自分が
とんでもない場所に来てしまったんじゃないかと錯覚した。
延々と街灯の無い道路、トンネルのように生い茂る木々、行けども行けども
人の気配がしなかった。
行き先のメモを見たとき、ふとあの時の記憶が蘇った。
「夜のお寺で何をするんだろう?まさかバンドを呼んで生ライブ、なんて
訳ないか…」
確かに京都や奈良などで大物アーティストがライブを開催したりするのが
最近の流行りだっりする。
「特に持っていく物も無さそうだし、練習中の曲でも弾きながら時間を
潰すか…」
私は練習に熱中するあまりシャワーに入るのも忘れ、昼間と同じ格好のまま
集合場所に向かいました。
もしかしたら、この後に起きた恐ろしい出来事は、いいつけを守らなかった
からなのでしょうか…
お寺で起きた恐ろしいこと…それは私を含め全員が体験した事なのです。
更新日:2009-06-29 15:28:18